「格安SIMに通話定額がないのはドコモのせい?」 ドコモ株主総会でも目立ったMVNOの広がり(4/4 ページ)
ドコモの株主総会で感じられた格安SIM/格安スマホの広がり。4年ぶりの増収増益を達成し、社長が交代するドコモの経営陣に、どんな質問が寄せられたのだろうか。
雇用と人事について 特に女性幹部が少ないのでは
―― 同一労働同一賃金を検討しているのか。また取締役に女性がほとんどいない。社外取締役に1人入るようだが、女性の取締役就任はハードルが高いのか。
紀伊取締役 同一労働同一賃金は政府の検討状況を捉えながら、必要な対応をしていく。有期雇用(労働者)のモチベーションも非常に重要で、グループ内ではダイバシティ(働き方の多様性)も推進していることから、同一労働同一賃金なりの働き方にはきちんと対応していく。
女性の活躍については、残念ながら取締役は男性ばかりだが、次期社外取締役候補として女性の遠藤氏を提案した。従業員についても採用された時から、研修時に意識付け・動機付けを行っている。管理職の女性比率を目安しているが、直近で4%まで引き上げることができた。
まず管理職を増やして、さらにその上の執行役員、取締役を目指すよう手を打っている。執行役員には、株主総会後に女性を1人追加する予定。今後も着実に、女性の経営幹部を増やしていきたい。
加藤社長 補足させていただく。女性幹部は、社外取締役として(この後の決議で)お諮りする1人、今日就任する執行役員に1人。組織長(部長職)が2人。グループ会社では役員が5人。まだまだ少ないのは否めないが、しっかりとした育成サイクルで、活躍できる場、人材を増やしたい。
―― 同一労働同一賃金の年齢制限はどうなっているのか。
紀伊取締役 60歳の定年制度があるが、その後も雇用できるよう柔軟な仕組みを導入している。自己評価については、社員の評価と上司の評価を面談してすり合わせ、それに基づいて昇格・異動・配置を決めている。
加藤氏が社長を退任 iPhone発売、新プラン導入も減収減益に苦しむ
ドコモは2016年の株主総会を持って、社長が加藤薫氏から吉澤和弘氏に交代した。加藤氏は最後に、「フィーチャーフォンからスマートフォンへ市場が急速にシフトするなか、通信事業者の使命であるネットワークの維持・向上をベースに、新たなビジネスの夢に挑戦した4年間だった」と振り返った。
加藤氏の在任中、ドコモは2013年にiPhoneの販売を開始。2014年に新料金プランを導入し、「健全な競争をしたい」と加熱するキャッシュバック合戦からの脱却も図った。2015年にはFTTHの固定通信事業「ドコモ光」を開始、「次の事業の柱」と位置付けるスマートライフ領域、パートナー企業との協業を推進する「+d」戦略も進んだ。
しかしiPhone投入が遅れた影響は大きく、新料金プランによる定額利用の急速な拡大で、14年度は営業利益を1200億円も下方修正する事態にも陥った。加藤氏は「財務的には3年間大変ご心配をおかけした。しかし増収増益を達成し、(2017年度目標の)中期計画も前倒しできるところまで来た」と回復をアピール。「このタイミングで新しい社長にバトンタッチできることに安堵している」と締めくくった。
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