インタビュー

「Android One」がヒット、SIMフリー端末販売も強化――好調Y!mobileの戦略を聞く(2/4 ページ)

Y!mobileが“格安スマホ”市場を席巻している。春モデルとして「Android One」2機種を発売し、学割やYahoo!プレミアムの無料化も打ち出した。そんなY!mobileの戦略を、寺尾洋幸氏に聞いた。

アプリが入りすぎていることの不満が高かった

―― とはいえ、Android OneはOSのアップデートで、突然ユーザーインタフェースがガラッと変わることも今後出てくるかと思います。その点については、どうお考えでしょうか。

寺尾氏 取りあえず、1回は乗り越えました(笑)。中に複雑なアプリを入れているわけではないので、それほど混乱はしないと思います。iPhoneでも、けっこう変わることはありますからね。ここまで来ると、さすがにガラッと変わることもなく、少しずつ変化していくのだと思います。

 それが止まってしまうと進歩もなくなってしまいますし、痛しかゆしな部分はあります。アップデートしないで、セキュリティリスクを残したままになるのもどうかと思いますし。Android Oneを導入するとき、Googleさんが気にしていたのは、OSのフラグメンテーション化(断片化)で、これはできるだけ最新に持っていった方が、業界全体ではいいとは思います。

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 ただし、事前に開発バージョンはもらっていて、あまりに大きく変わるときは、事前にお知らせはしなければいけないと考えています。その辺はわれわれがコントロールできます。リードタイムは切られていますが、一定期間はもらっているので、大きく変わる際は現場を含め、周知をしていくつもりです。

 Android Oneについては、今のところクレームも少ないですね。親切のつもりでアプリをたくさん入れると、それがネガティブになってしまう。アプリが入りすぎていることの不満足度がものすごく高かったんです。メモリも圧迫しますし、そのアプリが何をするのかが分からないという声は多くいただいていました。

―― 確かに、Y!mobile発足当初の端末は、Yahoo!のアプリが多すぎる印象はありました。

寺尾氏 SIMフリーをやりながら言うのもなんですが、やはり選ぶ端末はすっきり整理した方が、選びやすくなります。何十と種類を出す必要はないのではないでしょうか。

ハイエンド端末はなかなか売れない

―― Android Oneの3機種は、併売していくのでしょうか。

寺尾氏 当面は併売します。夏、冬にモデルチェンジをして、徐々に入れ替えていき、常に3モデルが並んでいる形にできればと考えています。

―― 3機種となると、料金プランのように、松竹梅という形でそろえるのでしょうか。今はミッドレンジからローエンド寄りですが。

寺尾氏 ローエンドの方が数は出るので、(今回は)選択肢を増やしました。ミッドレンジのもう一段上を作るかは、売れ行きを見ながらですね。一番上だと(Google製の)「Pixel」のような端末もありますが、あまり高いとなかなか売れない。その辺は、様子を見ながらですね。

―― 一方で、SIMフリー端末にも、キャッシュバックが付いています。これも、SIMフリーの比率が拡大している理由でしょうか。

寺尾氏 あれは端末販売とひもづいていないもので、ガイドラインの規則は守っています。それを大前提とした上で、こちら(Y!mobile端末)では実質数百円などにして端末の原価を負担しているのに、端末を買っていただかないとその還元をしないというのは、やはり建付けとしてはおかしいですよね。どこまで還元できるかは種類にもよりますが、一定量はやっています。

「iPhone 5s」の次は?

―― ちなみに、iPhone 5sも登場からそろそろ1年たちますが、次はどうするのかを教えてください。

寺尾氏 こればっかりは、僕の首が飛んでしまうので(笑)。いろいろな選択肢は常に検討していますし、ある日突然いろいろなことが起こるので、それを見ていてください。


いまだ好調に売れている「iPhone 5s」。頭金100円(税別)を除くと実質0円という安さも魅力だ

―― iPhone 5sはいまだに販売ランキングで上位につけています。

寺尾氏 Appleさんの技術はやはり素晴らしい。確かに5sだと少し(動作が)重たくなったということはありますが、十分なパフォーマンスがあり、今も(最新の)OSがついてきています。その上で、若い方にはやはりまだ同質志向がある。みんなが持ってるからiPhoneを持つ、そういった方々にウケています。1月20日に学割を開始しましたが、やはり学割対象の方の方がiPhone比率は高いですね。ここは底堅い。一方で、iPhoneも売れていますが、Android OneやDIGNOもボリュームがあり、うまくポートフォリオを組めています。

―― 日本通信がソフトバンクの過去のiPhoneを使えるよう、接続を求めてきてサービスを開始しますが、Y!mobileで同様のことをするおつもりはありますか。

寺尾氏 えーーーーと……どんどん歯切れが悪くなってしまっていますが(笑)、iPhone 6s以降であれば、SIMロックを外せば使うことはできます。それより前のiPhoneは、数はどんどん減っていますし、5sの方がそのまま乗り換えたければ、うちで買っていただければ(月額の負担がほぼなく)ピカピカの新品になります。5sは売っていた時期が3年以上前になるので、さすがにちょっとクタクタになっていますからね。

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