インタビュー

「捕まえる」存在から「寄ってくる」存在に――JapanTaxiが目指すタクシーの未来(前編)(3/3 ページ)

最近「JapanTaxi」というタクシー配車アプリが注目を集めている。このアプリを開発したJapanTaxiとは、どのような会社なのか。アプリによってタクシーの利用動向に変化はあったのか。同社のCMO(最高マーケティング責任者)に話を伺った。

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地方ではシニアユーザーが多い ただし「アプリ」経由ではない

―― JapanTaxiアプリはどのような人が使っているのでしょうか。

金氏 タクシーの乗り方も含めて、地域性は出ます。

 分かりやすい例を出すと、東京などの都市部では男性のビジネスユーザーの利用が多いですが、真夏の暑い日は20代あたりの若い女性の利用が増えます。地方ではシニア層の方が通院などで使うケースが多いです。

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―― 地方ではシニア層がJapanTaxiアプリを使っていると。

金氏 いえ、アプリで直接、というわけではありません。

 弊社はJapanTaxiアプリの仕組みを使いやすい形でアレンジして提供する取り組みも行っています。その1つが「タクシー呼び出し用タブレット端末」で、地方のシニア層の方はこれで乗車されることが多いです。

 このタブレット端末はデパートやスーパーマーケット、病院などに設置されていて、ボタンをタップすると整理番号が表示されると同時に、タクシーに配車指示が伝送されます。タクシーが呼び出し場所に到着したら、呼び出したお客さまは自分の整理番号を伝えて乗車します。

 ちょっと面白いと思うのが、スーパーマーケットでの利用率が高いことです。「行きは徒歩で向かったものの、帰りは荷物が多くなったのでタクシー」という使い方をされているようです。

 使うユーザーや場所に合わせて、ユーザーインターフェース(UI)を変えてサービスを提供する取り組みとしては、まだ一般提供していませんが「押したらタクシーが配車されるボタン」も検討しています。「Amazon Dash Button」のようなものですが、「着替える前にポチッと押して、着替え終わって玄関を出たらタクシーが待っている」という感じで、シニア層の方にもっと分かりやすく便利に使っていただけるようにしたいと考えています。

タクシーは「出向いて乗る」存在から「寄ってくる」存在に

―― JapanTaxiアプリや、その仕組みを活用した配車システムが導入されて、配車依頼の方法に変化はありましたか。例えば「電話による依頼が減った」というような。

金氏 日本交通の例を出すと、2~3年前はアプリによる配車依頼が全体の2~3割程度だったのですが、直近では7割まで伸びました。

 ただ、電話による依頼が減っているかというと、そうでもありません。数でいうと横ばいです。今まで「流し(※)」でタクシーに乗っていたお客さまが、アプリを使って配車予約をするようになったと思われます。

※走行中の空車タクシーを捕まえて乗る乗り方。都市部ではこの方法でタクシーに乗る人が多いとされている

―― つまり、アプリの分だけ配車予約の総数が増えたということですか。

金氏 そういうことになります。

 流しでの乗車を含めて、今まではお客さまが「タクシーのある場所に出向いて探す」ことが多かったのですが、アプリの普及によって「タクシーがお客さまに寄ってくる」ようになりつつあります。

 弊社としては、この変化を加速させていきたいと考えています。


アプリで配車予約できるようになっても、電話配車の依頼数は減っていないという(画像は日本交通の電話配車予約案内

 後編では、JapanTaxiが提供するコード決済「JapanTaxi Wallet」や、他社のコード決済を含む支払い方法の多様化、NTTドコモとの資本業務提携、インバウンド・アウトバウンド対応などについて伺った話をまとめる。

 楽しみにしていてほしい。

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