ソフトバンクが通信障害について謝罪 再発防止に向けた対策も明らかに(3/3 ページ)
12月6日に「ソフトバンク」「Y!mobile」の4G LTE携帯電話で発生した通信障害。ソフトバンクの上場記者会見では、宮内謙社長と宮川潤一副社長が障害について謝罪。宮川副社長が障害発生の詳細な経緯と再発防止策について説明した。
「バージョンダウン」でひとまず対応
今回の障害は、MME装置のソフトウェア不具合が原因。そのため、ソフトバンクの運用ルールに従い、装置のソフトウェアを旧バージョンに戻す(ロールバックする)ことで解決を図った。
「今まで動いていた」ということで簡単に旧バージョンに戻せるようにも思えるが、ソフトウェアのインストールに時間を要したため、ロールバック開始から完了(完全復旧)までに1時間42分かかっている。
「暫定対策」と「恒久対策」
新バージョンのソフトウェアには主にIoT機器を想定した新機能が盛り込まれている。今回は障害回復のためにソフトウェアのロールバックを実施したが、このままにしておくと今後の新サービスの展開にも影響が出てしまう。
そこで、ソフトバンクは障害の再発防止策として、MME装置を含む重要なネットワーク装置について「暫定対策」「恒久対策」を行う。
暫定対策
迅速に行える「暫定対策」としては、以下の3つを実施済み、あるいは年内に実施する。
- 商用設備における証明書の「有効期限」確認(最重要設備は完了済み、その他設備は年内に完了予定)
- ラボ試験において未来日付で動作確認(新規設備・新規ソフトウェアから適用)
- ソフトウェアのロールバックの迅速化(年内に完了予定)
恒久対策
ある程度時間を要する「恒久対策」としては、以下の3つを実施する。
- 証明書をオペレーターが確認・更新できるようにする改修(開始済み:2019年1月31日までに実施予定)
- システムアーキテクチャの見直し(仕様の検討を開始)
- MME装置のマルチベンダー化(2019年6月30日までに完了予定)
証明書関連の改修は、全18台のMME装置のうち5台に適用済みで、現在のところ異常は見られないという。予定通り、2019年1月31日までに全装置に適用できる見込みだ。
システムアーキテクチャの見直しは、簡単にいうと「異常が発生したらとにかく再起動」から、「サービスの安定的提供が困難な異常時のみ再起動・そうでないときはアラートを出しつつ運用を継続」に方針転換するということ。すでに開発ベンダーと仕様の検討と開発を開始している。
MME装置のマルチベンダー化については、既存のエリクソン製装置18台に、東日本・西日本で合わせて10台以上の他社製装置を追加する。すでに欧米の2社と交渉に入っており、いずれか1社の装置を導入する予定だ。
先述の通り、ソフトバンクは従来、MME装置を実質シングルベンダーとすることでコストと管理の手間を抑制していた。マルチベンダー化はある意味で「過剰投資」ともなるが、システムの信頼性を向上するため、経営判断で実施を決めたという。
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