ドコモがぷららを子会社化 吉澤社長がその狙いを語る
NTTドコモがNTTぷららを子会社化する。ドコモは既に複数の映像サービスを提供しているが、なぜあえて子会社化するのか? ドコモは映像分野で新たなビジネス創出を目指すという。
NTTドコモが2月1日、NTTぷららの株式を追加取得し、同社をドコモの子会社にすることを発表した。
ドコモは2017年5月にぷららの株式を一部取得し、より魅力的な映像体験の提供に向けて協業を進めてきたが、5G通信サービスでより付加価値の高いコンテンツ提供や、映像視聴スタイルの多様化に向けて、ぷららを子会社化する。同社は「ドコモの会員基盤とぷららの映像技術を組み合わせたシナジーを実現する」とも説明する。
株式の追加取得は2019年7月に完了する予定。取得後のドコモの持分比率は現在の33.3%から95.4%になる。ドコモは2025年度までに映像分野で3000億円の事業規模を目指す。
ドコモは既に「dTV」「DAZN for docomo」「ひかりTV for docomo」などの映像サービスを提供している。なぜ、あえてぷららの子会社化に踏み切ったのか。2月1日の決算会見で、ドコモの吉澤和弘社長が改めてその狙いを説明した。
1つは映像コンテンツの拡大だ。吉澤氏は「ドコモだけではコンテンツ制作や調達は、まだまだ(及ばない)。現在はいろいろなプロバイダーから(コンテンツを)調達しながらサービスを提供しているが、ぷららは自社での制作や調達に長けている。そういったところを取り入れたい」と話す。ぷららのノウハウを取り入れることで、より多様な映像コンテンツを提供可能になるというわけだ。
2つ目が新たなビジネスの創出だ。吉澤氏は「映像コンテンツを軸とした広告は、まだできる余地がある」と期待する。また「知的財産権のビジネスもぷららが得意とする」(同氏)ことから、ここでも新ビジネスにつなげていく考えだ。
3つ目が、映像コンテンツを軸としたECビジネスの拡張だ。例えば、映像で紹介したファッションアイテムをECに展開することで、拡販につなげられる。
吉澤氏は「5G時代に映像が大きなビジネスソリューションになることは間違いない」と期待を寄せる。AR、VR、MRなどの新技術を用いたビジネスも拡大するだろう。ドコモは新サービスとして音楽ライブの新たな楽しみを体験できる「新体感ライブ」を2019年1月18日から提供している(ここにはぷららも協業している)。
新体感ライブは、好きなアングルを選んで視聴できる「マルチアングルライブ」、グッズにスマホをかざすとアーティストが出現して演奏する「ARフィギュア」、画面の気になるところを触って知りたい情報に直感的にアクセスできる「TIG(ティグ)」といった特徴を持つ。同サービスのような、これまでにない映像の楽しみ方が、5G時代にはさらに広がるだろう。
ぷららのノウハウを完全に取り込むことで、映像に関する新たなコンテンツ・ビジネスの創出がさらに加速することが期待される。
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