ドコモの値下げでauとソフトバンクはどう動く? 3社の決算会見で語られたこと:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
3社とも決算の数字だけを見ると好調と総括できるが、来期には官邸の意向を受けた“料金値下げ”が待ち構えている。仕掛けたのはドコモだが、KDDIやソフトバンクもこれに追随する方針。決算説明会で見えてきた3社の現状と今後の見通しをまとめた。
ドコモへの対抗値下げを示唆するau、ソフトバンクはY!mobileで対抗?
通信料収入の減少を非通信領域で補っている構図は、KDDIも同じだ。KDDIは、2017年に「auピタットプラン」「auフラットプラン」を導入。分離プランで料金水準そのものが下がっていたため、通信料収入自体は減少している。また、「競争環境の悪化に伴う販売コストの増加」(高橋誠社長)も減収要因になった。具体的には、他社の端末値下げに対抗し、販売コストを積み増したようだ。
一方で、同社がライフデザインセグメントと呼ぶ非通信領域は好調で、「一番収益に貢献しているのはauスマートパスやauスマートパスプレミアム。決済も本当に好調で、iPhone、Androidでもその上の決済が収益になっている」という。Wowma!などの物販は「まだまだ利益を得るところには行っていない」と今後の課題に挙げた。分離プラン導入の影響も底を打つ見通しで、「第4位四半期で反転する」(高橋氏)見通しを示す。
ただ、通信料収入は、ドコモへの対抗でさらに減少する恐れもある。現行のauピタットプラン、auフラットプランについては「総務省も理解している」(高橋氏)ため、大きな改定はないとみられるが、ドコモの料金水準によっては対抗値下げに打って出る可能性も高い。高橋氏は「ピタットプラン、フラットプランと同水準でくればいいなとは思うが、もう少し踏み込んできたら、競争なので対応していかなければならない」と語る。
「スマートフォンが飽和したのという論調には異論がある」(宮内謙社長兼CEO)と語るソフトバンクは、ソフトバンク(SoftBank)とY!mobileのデュアルブランド戦略が功を奏し、スマートフォンの累計契約者数も順調に伸びている。「これからも、こういった数字は追求していきたい」と通信事業そのものの拡大に向けての意気込みも十分。傘下のLINEモバイルも加えた3ブランドで、幅広いユーザー層を獲得していくという方針を掲げる。
そのため、ドコモへの対抗策もKDDIとは異なり、3ブランドの違いを生かしたものになるという。ソフトバンクは「まさに大容量に特化した形」(宮内氏)で、「現実的には(ウルトラギガモンスター+とミニモンスターの)2つの料金プランがあるが、ミニモンスターはそんなに売れていない」という。「ソフトバンク=大容量」で、価格もそれなりに高いというブランドは、今後も維持していく。
仮に「彼らが低価格で出してくれば、Y!mobileで対応する」と宮内氏。そのY!mobileは、「上半期中には分離プランに対応する。ドコモさんがどんなプランを出してくるのかも、勘案しながらになる」(同)という。
仮にソフトバンクからY!mobileへのブランド変更が相次ぐと、会社としてのソフトバンクにとってはARPUが下がるだけで、実際に16年度は「ソフトバンクからY!mobileに移る人が多かった」(宮内氏)という。これが、大容量プランに磨きをかけた結果、「直近ではほぼイーブンになった」(同)。ユーザーをY!mobileで伸ばしつつ、大容量のデータ通信が必要な人を着実にソフトバンクで取り込めている証拠といえる。スマートフォンの解約率も0.79まで落ち、宮内氏も「販売戦略がうまくいっている」と自信をのぞかせる。
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