ソフトバンクは3ブランドでドコモとUQ mobileに対抗 新料金プランは「安く」「分かりやすい」:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
NTTドコモの料金値下げに即対抗したのはソフトバンクだった。同社はソフトバンクとY!mobile(Y!mobile)の双方を値下げすると同時に、LINEと共同運営の形を取るLINEモバイルを完全子会社化。第3のブランドとして、「SoftBank on LINE」をコンセプトにしたオンライン専用のブランドを立ち上げる。
SoftBank on LINEの追加で際立つ、Y!mobileのメリット
料金はリーズナブルなSoftBank on LINEだが、店舗での契約やサポートは利用できず、当初は端末も用意されない。SIMカードやeSIMのみの提供になり、端末はユーザー自身でSIMロックフリースマートフォンを購入するなどして“持ち込み契約”をする必要がある。ある程度スマートフォンに詳しい人には簡単な条件だが、そうでないと、利用のハードルは高い。一方で、ソフトバンクには小容量から中容量の料金プランをそろえたY!mobileがあり、SoftBank on LINEに移れないユーザーの受け皿になりそうだ。
そのY!mobileも、料金プランを大幅に刷新する。もともとY!mobileは、12月下旬に政府の要請に応えた20GBプランの「シンプル20」を導入する予定だったが、これを取りやめ、料金体系を丸ごと作り変える手を打った。2021年2月からは料金プランを「シンプルS」「シンプルM」「シンプルL」の3つに整理。Y!mobileが得意としてきた、松竹梅の3本立て料金を維持した上で、3プランとも5Gに対応させる。
シンプルSは3GBで1980円、シンプルMは10GBで2980円、シンプルLは20GBで3780円に設定する。従来の「スマホベーシックプラン」より価格が引き下げられているが、これは10分間の音声通話定額をオプション化したためだ。オプションは「だれとでも定額」が700円で、これをつけるとシンプルSやシンプルMは従来の料金と金額が同じになる。純粋な値下げとはいえないが、音声通話をほとんど使わないユーザーの負担は抑えられる。同様の仕組みは、KDDIのUQ mobileが採用しており、ここに対抗した格好だ。
SoftBank on LINEと料金を比較すると、容量あたりの金額はやや高いが、これは新ブランドがオンライン専用で、「付帯するコストやコンタクトセンターのサポートなども極限まで削減した」(榛葉氏)ためだ。逆に言えば、SoftBank on LINEとY!mobileの差額や容量差が、リアルな店舗でのサポートコストと考えることができる。金額を2980円に抑えたいのであれば、データ容量が10GB減って、5分間の通話定額がなくなる。逆に、データ容量を20GBにそろえると、800円料金が高くなる。オンライン専用のSoftBank on LINEだけでなく、Y!mobileも残すことで、サポートコストが明確になったといえる。
近い料金プランが存在することで、ショップでの営業もしやすくなりそうだ。ドコモの場合、店舗でのサポートが必要だと、5Gギガホ プレミアや段階制の「5Gギガライト」に加入せざるをえなくなる。10GBや20GBといった中容量でショップを利用できるプランがないため、諦めるしかなくなってしまう。これに対し、ソフトバンクならY!mobileを勧めることができる。SoftBank on LINEで話題を作りつつ、ショップを訪れたユーザーはY!mobileで獲得できるというわけだ。ユーザーにとっても、選択肢が多いことは歓迎できる。
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