巣ごもり需要で150%成長した「dTV」 5G時代の戦略とは? NTTドコモに聞く(4/4 ページ)
コロナ禍の巣ごもり需要で動画配信サービスの成長が目立つ。NTTドコモの「dTV」についても、2020年12月には20世紀スタジオとディズニー配給の洋画200タイトル、海外ドラマ1800エピソードが追加された。dTVを統括するNTTドコモ コンテンツビジネス部長の田中伸明氏に、今後の戦略を聞いた。
店頭以外で契約する人が圧倒的に多い
―― 従来、ユーザーの獲得は、契約時や機種変更時にドコモショップでサービスを提案するというやり方でした。しかし、ドコモショップが完全予約制になるなど、ショップでdTVを紹介する機会が減ったと思います。新たにユーザーを獲得するために工夫されていることがあったら教えてください。
田中氏 昔のように店頭が使えないのは事実なので、ドコモという会社でやっているアドバンテージを生かしていきたい。店頭ありきのように見られているところもあるので、そこを少しチューニングしていく必要があると思っています。フルファネル的にどういう風に考えていくのかということは、店頭だけでやっていた頃には考えなかったマーケティングですが、そういうことをきちんと考えていきたいと思っています。これはdTVだけに関わることではありません。
―― 別の場所にタッチポイントを増やす必要があると思いますが、オンラインで認知拡大する施策を考えていますか?
田中氏 既に店頭以外でのユーザー獲得が圧倒的に多いです。店頭ではほぼ獲得していないという前提で物事を考えています。若者向けの端末でdTVを見てもらうときに、どういう風に告知、プロモーションしていくのか、これまでとは違ってターゲットをあえて絞った商品になるわけなので、これまでとは違う訴求を、違う場所でしていくことを考えていく必要があると思っています。
―― かなり昔にはなりますが、ショップでの契約が“レ点営業”だと批判されることもありました。値引きする条件で契約する、ということは今はもうしていませんよね?
田中氏 今はもう、やっていません。ああいう売り方には、もうなっていません。「適切な説明をして、ユーザーさんに適切な意思表示をしてもらって売りなさい」という指導も入っています。総務省さんの指導もあって、逆にいうとそれだからこそ、店頭以外のところでユーザーを見つける状態になっています。
他キャリアのユーザーも伸びている
―― dTVは他キャリアのユーザーでも利用できます。ドコモユーザーと他キャリアユーザーの比率は出していますか?
田中氏 ちゃんと公表してはいないんです。ただ、われわれはキャリアフリーと言っていますが、かなり早くからドコモに依拠しない状態にしました。店頭でもほぼユーザーを獲得していないといこともあり、意外とドコモユーザー以外の方がたくさんいらっしゃる状況です。本当は、キャリアのシェア比率くらいにしなければけないと思っています。ドコモとしてのプラスは活用できればいいですが、サービス単体としてユーザーに向き合い、どういう風に認めていただくかを考えていくことが大事だと思います。
―― 一部のMVNOがdTVを販売しています。井伊社長のインタビューでは、低料金帯はMVNOと一緒にやっていくとおっしゃっていて、その中でdポイントがカギを握るという話も出ていました。MVNO経由の展開は今後、増えていく見込みなのでしょうか。
田中氏 MVNOさんの場合、当たり前ですが、まずは自社の契約が優先されます。もう少し数が伸びるといいなと思って取り組んでいますが、そこまで数は伸びていない状態です。コンビニのカード販売と同じで、いろんな人といろんな取り組みをやってみようという一環ではあります。
関連記事
「ひかりTV for docomo」が9月5日サービス開始 「dTV」「dTVチャンネル」も楽しめて月額2500円から
“2018年春”にスタートする予定だった「ひかりTV for docomo」が、ようやくサービスインする。「ひかりTV」に加えて「dTV」「dTVチャンネル」のサービスを受けられる他、「DAZN for docomo」とのセット契約するとセット割も適用される。映像サービス「dTVチャンネル」「ひかりTV for docomo」2018年1月以降に提供開始
NTTドコモは30以上の専門チャンネルが見放題の「dTVチャンネル」と、光回線を利用して50以上の専門チャンネル、地上・BSデジタル放送や約16万の映像コンテンツをオンデマンドで視聴できる「ひかりTV for docomo」を2018年1月以降に順次提供する。BIGLOBE SIMで「dTV」「dヒッツ」「dマガジン」を購入可能に
ビッグローブは、NTTドコモが提供する「dマーケット」の一部コンテンツを「BIGLOBE SIM」利用者へ販売開始。「dTV」「dヒッツ」「dマガジン」の3サービスが対象となる。なるほど確かにテレビっぽい。リニューアルした「dTV」の“ザッピングUI”を試す
ドコモとエイベックスの「dTV」は、「dビデオ」からリニューアルしたスマホ向けのVODサービスだ。テレビっぽさを狙った新しいザッピングUIと、専用STBの「dTVターミナル」を使ってみた。「dビデオ」から「dTV」へ――リニューアルで語られた3つのポイント
「dビデオ」から「dTV」へのリニューアルを発表したドコモとエイベックス。UIの刷新や専用STBの発表、そして独自コンテンツへの取り組みなど、3つのポイントでサービスを強化する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.