「iPhone 13」シリーズを試す 動画撮影が驚くほど楽しく、Proならではの新機能も魅力(2/4 ページ)
「iPhone 13」シリーズの発売に先立ち、4モデルの実機を試すことができた。デザインは先代のiPhone 12シリーズを継承しており、ノッチはやや小さくなった。カメラは新機能の「フォトグラフスタイル」と「シネマティックモード」が利用可能になり、Proは3倍の望遠カメラとマクロ撮影を使えるのが特徴だ。
動画のクオリティーが上がるシネマティックモード、フォトグラフスタイルでの撮影も楽しい
デザインはキープコンセプトなiPhone 13シリーズだが、カメラ機能は別物といえるほどの進化を遂げている。中でも顕著なのが、動画性能の向上だ。新たに搭載されたシネマティックモードでは、機械学習とカメラの視差を使って測定した深度を使い、動画撮影中に背景ボケを作ることができる。被写体の視線の先にピントを合わせて見ているものを強調したり、背景をボカしたりと、静止画のポートレートモード以上に活用できそうな機能だ。論より証拠ということで、まずはシネマティックモードで撮った動画を見ていただきたい。
人物が登場した後ピントがそちらに合い、背景がボケていることが見て取れるはずだ。しかもiPhone 13シリーズでは、これをオートでやってくれる。また、撮影中に人物や物体を認識しているため、ピントを合わせたい場所をタップして撮影者の意図通りにボケを作ることも可能だ。Appleのスペシャルイベントでは、映画の撮影を例にこの機能を紹介していたが、日常を記録するような短い動画でも効果は十分発揮できる。以下は「iPhone 12 Pro」で撮った同じ場面の動画だが、背景ボケがないため、人物の際立ち方がやや劣って見える。
iPhoneのカメラには絞りの機能はないが、先に挙げたように機械学習と深度でこれを実現している。そのため、被写界深度を変更したり、後からピントを合わせる場所を変えたりといった操作も簡単だ。動画撮影中に深度情報を記録しておき、リアルタイムでボケを作れるのは「A15 Bionic」の高い処理能力があってこそ。シネマティックモードがiPhone 13シリーズに限定されている理由だ。
また、Proモデルに搭載されているLiDARを使っていないこともあり、同機能は無印のiPhone 13でも利用できる。目玉になる機能なだけに、シリーズ全体が対応しているのはうれしいポイント。ピントを工夫しながら撮るのは思いのほか楽しいので、ぜひ利用してみてほしい。
また、カメラ自体は、先に挙げたようにセンサーサイズが大きくなったことに加え、レンズも明るくなり、より暗い場所でもキレイな写真が撮れるようになった。スペック的にはProモデル2機種の方が高いが、撮り比べると、大きな違いはないようにも見える。一方で、ナイトモードの発動条件には差分もあった。以下の写真がそうだが、iPhone 13や13 miniだとナイトモードに切り替わってしまうため、被写体ブレを起こしやすいが、Proモデル2機種だとそのままシャッターを切れた。
また、暗所で撮った写真を見比べると、Proモデル2機種の方が人物の肌が滑らか。無印側はソフトウェア処理でディテールをごまかし気味になっている。スマートフォンサイズのディスプレイで引いて見ると違いが分かりづらいが、PCなどで大きく表示した際には差が出ている。ここは、Proのセンサーサイズやレンズのよさが出た部分といえる。
iPhoneのカメラは、機械学習をフル活用してダイナミックレンジを広げたり、色調を調整したりしているが、iPhone 13シリーズからは、そこにある程度自分ならではのチューニングを加えられるようになっている。フォトグラフスタイルがそれだ。フィルターのように写真全体を変えてしまうのではなく、被写体を分析し、人の肌のトーンなどはそのまま残しているのが特徴だという。フォトグラフスタイルは、あくまでソフトウェアを使った機能だが、利用できるのはiPhone 13シリーズのみ。処理能力が追いつかないためか、iPhone 13ならではの売りを作るためかは不明だが、写真を好みに近い形に仕上げられるのは便利だ。
以下に掲載したのが、それぞれのフォトグラフスタイルを適用して撮った写真になる。標準でも十分キレイには見えるが、より花の色を派手に見せたいときには「鮮やか」を、クッキリとした濃淡が欲しいときは「リッチなコントラスト」を選んでもいいだろう。また、それぞれのモードで「トーン」と「暖かみ」のパラメーターを手動で調整することも可能だ。唯一の“正解”を出していたこれまでのiPhoneに対し、iPhone 13シリーズは写真にユーザーの好みを反映しやすいというわけだ。
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