第2世代よりも“売れる条件”が整った「iPhone SE(第3世代)」 市場への影響は?:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)
約2年ぶりとなるiPhone SEの新モデルが3月18日に発売される。もともと同モデルは、過去に人気の高かったiPhoneの本体デザインをそのまま利用しつつ、中身、特にプロセッサを最新のiPhoneにそろえているのが特徴だった。約2年間売れ続けたロングセラーモデルだっただけに、第3世代にも期待が集まる。
Appleは、3月9日未明にオンラインで製品発表イベントを開催。普及モデルとして人気の高い「iPhone SE」の後継機などを発表した。発売は、3月18日を予定。11日から事前予約を受け付けている。また、同日にはドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの大手4キャリアが同モデルなどの取り扱いを表明。Appleと同様、11日から予約を受け付けており、18日に発売する。
iPhone SEという名称の端末が登場するのは、約2年ぶりのこと。もともと同モデルは、過去に人気の高かったiPhoneの本体デザインをそのまま利用しつつ、中身、特にプロセッサを最新のiPhoneにそろえているのが特徴だった。この位置付けは、第3世代のiPhone SEにも受け継がれている。第2世代のiPhone SEは、約2年間売れ続けたロングセラーモデルだっただけに、第3世代にも期待が集まる。ここでは、同モデルがモバイル市場に与える影響を読み解いていきたい。
iPhone 8のデザインを受け継ぎながら、中身を最新にしたiPhone SE
iPhone SEは、より多くのユーザーにiPhoneを普及させるための、いわばエントリーモデルに位置付けられる。ただし、製品発表会で、Appleのティム・クックCEOが「われわれの最も先進的な機能とテクノロジーを搭載しながら、信じられない価格で提供できるように設計した」と語っていたように、一般的なエントリーモデルとは少々趣が異なる。
エントリーモデルというと、価格と同時に機能を抑えるのが一般的だが、iPhone SEは、同世代の最新モデルと同じプロセッサを搭載しているのが特徴だ。実際、約2年前に発売された第2世代のiPhone SEは、当時のフラグシップモデルにあたるiPhone 11シリーズと同じ「A13 Bionic」を採用。18日に発売される第3世代のiPhone SEも同様に、現行モデルのiPhone 13シリーズと同じ「A15 Bionic」を内蔵している。
価格は販路によって異なるが、Apple自身の取り扱いとなるApple Storeでは64GBモデルが5万7800円(税込み、以下同)から。店頭で新規契約や機種変更といったキャリア契約の手続きをすると8800円の割引を受けられるため、実質的な価格は5万円以下になる(この場合、楽天モバイルやMVNOは選べないが)。iPhone 13シリーズは、最も安いiPhone 13 miniですら8万6800円からで、それを大きく下回る価格設定となっている。
初代iPhone SEは、iPhone 5や5sをベースにしていたが、約2年前に登場した第2世代ではiPhone 8などと同じ、丸みを帯びたボディーを採用。第3世代は形状を変えてくるかと思いきや、デザインはiPhone 8を踏襲した。iPhone XRやiPhone 11などの全画面モデルではなく、iPhone 8ベースになったのは、やはりUI(ユーザーインタフェース)として直感的なホームボタンがエントリーモデルにマッチしていたからだろう。
Appleには、iPhone 8以前の古いモデルを使用しているユーザーの買い替えを促す狙いもあるようだ。間もなく配信される「iOS 15.4」では、iPhone 12シリーズ以降の端末でマスクをつけたまま、目元だけを照合することでFace IDを利用できるようになるが、コロナ禍において、指紋認証であるTouch IDを求める声は多い。Appleは、第3世代のiPhone SEでこうしたニーズに応えた格好だ。
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