「iPhone SE(第3世代)」の“価格以上に高い性能”を体験 どんなユーザーが選ぶべき?(3/3 ページ)
デザイン面ではキープコンセプトな第3世代のiPhone SEだが、中身は刷新した。プロセッサにはiPhone 13シリーズと同じ「A15 Bionic」を採用。iPhone SEとしては、初めて高速通信規格の5Gにも対応した。そんなiPhone SEの実機を、短い期間ながら発売に先立って試用することができた。
A15 Bionicを生かした高いカメラ画質
A15 Bionicの性能を生かした機能の1つに、カメラがある。iPhone SEは第2世代に続いて12メガピクセルのシングルカメラだが、「スマートHDR 4」に対応している点は大きな違いだ。スマートHDR 4が標準になったiPhone 13シリーズでは、HDRが常時オンになり、切り替えスイッチがなくなったが、第3世代のiPhone SEでもこれが踏襲されている。逆光のように、カメラが苦手とするシチュエーションでも、背景を飛ばさず、かといって前景が暗くなりすぎずにきれいな写真が撮れる。
色調や肌のトーンなどのバランスも、iPhone 13シリーズに近い印象だ。比較的彩度が高めで、SNS映えもしそうな写真が撮りやすい。室内での料理撮影も色があまり失われず、瑞々しい仕上がりになった。また、料理に関してはセンサーサイズがiPhone 13 Proより小さいためか、ピントが皿(以下の作例では丼)の奥にも届き、本来ボカす必要のないところまでボケるといったことがなかった。こと料理写真に関しては、iPhone 13 Proよりも撮りやすい印象だ。
肌のトーンを残しつつ全体の色調を変える「フォトグラフスタイル」に対応しているのも、A15 Bionicの恩恵。プロセッサを最新のiPhoneと合わせることで、コンピュテーショナルフォトグラフィーのレベルを底上げした格好だ。一方で、シングルカメラゆえに、iPhone 13シリーズのような超広角の写真は撮れない。仕様から分かっていることではあるが、風景をダイナミックに切り取れない。筆者は超広角カメラの利用頻度が比較的高いだけに、この点は残念だ。
もう1つ、iPhone SEが非対応なのは「ナイトモード」だ。これはいわゆる連写合成でノイズを削減し、明かりのない場所での撮影を可能にする機能。iPhone 12シリーズから対応が始まったが、第3世代のiPhone SEでは利用できない。ただし、いわゆる夜景のようにある程度明かりがあれば、ノイズは比較的少なく、HDRもしっかり効いた写真は撮れる。以下は、iPhone 13 Proのナイトモード(1秒)で撮った写真との比較だが、ぱっと見で見分けるのは難しいのではないだろうか。ただし、細かく見ていくと、看板の明るさや空の描写などで違いもある。
iPhone SE(第3世代)は初めてのスマホにもオススメ
ここまで見てきたように、第3世代のiPhone SEは価格以上の高い性能を持った端末に仕上がっている。コンパクトなiPhoneという意味ではiPhone 13 miniなどの選択肢もあるが、(一時的な割引を考慮しなければ)価格が安く、Touch IDのような他のiPhoneにはない魅力もある。一方で、ディスプレイサイズやデザインは約4年半前の端末をベースにしているだけに、安定感はあるが、率直に言えば古さも感じる。最新のデザインや機能を求める場合は、やはりiPhone 13シリーズを選んだ方がいい。
第3世代のiPhone SEは、iPhone X以降の全面ディスプレイを採用したiPhoneにどうしてもなじめない人や、初めてスマートフォンを持つユーザーにはオススメできそうな端末だ。コストパフォーマンスは高いため、ディスプレイやカメラに多くを求めないユーザーも満足できるだろう。第2世代のiPhone SEがロングセラーになったことからも分かるように、このようなユーザーの数は非常に多い。ボリュームゾーンを5Gに移行させることができるため、キャリアにとっても売りやすい端末になりそうだ。
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