SIMフリー「Galaxy M23 5G」を試す サムスンがオープン市場で成功する鍵は?:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)
サムスン電子が満を持してオープン市場に投入するのが、「Galaxy M23 5G」だ。4月21日の発売に先立ち、同モデルを一足先に試用できた。これまで培ってきたGalaxyの知名度やブランド力がどこまで通用するかが、成否を決める鍵になりそうだ。
メインカメラの画質は良好、成否を分けるのはGalaxyのブランド力か
カメラはメインカメラが5000万画素。ピクセルビニングを採用し、複数の画素を1つに束ねて感度を向上させているため、オートで撮影すると1200万画素相当の写真に仕上がる。高画素センサーを採用したフラグシップのGalaxyと同様、設定を切り替えると、5000万画素を丸々使って高精細な写真を撮ることも可能だ。絵作りの傾向は、他のGalaxyに近い。彩度はやや高めで、AIの補正も加わることでメリハリの効いた写真が撮れる。
ナイトモードにも対応しており、夜景もきれいに撮影できる。都市部の強い光源があるような場所でも、HDRが機能するため、白飛びすることが少ない。ただし、価格なりのところはある。特に、メインカメラ以外のスペックは抑えめだ。超広角カメラは800万画素、マクロカメラは200万画素で、メインカメラと比べると解像感が落ちてしまうのが難点。望遠にも非対応で、ズームはメインカメラのデジタルズームになる。
おサイフケータイや防水にも非対応だ。Galaxyといえば、海外メーカーの中では比較的早くからこうした仕様を取り入れてきただけに、ここは少々残念なところ。日本メーカーのシャープやソニーはもちろん、海外メーカーのOPPOやXiaomiなども、メーカーモデルの主力製品にはおサイフケータイなどを搭載しているため、サムスン電子にもぜひ追随してほしい。これまでGalaxyを使っていたユーザーがGalaxy M23 5Gを購入する上でも、こうした仕様はあった方がいいだろう。
Amazonでの販売を重視して開発されたGalaxy M23 5Gだが、同サイトが扱うメーカーモデルの中では、価格がやや高めだ。また、Amazonでは、一部メーカーのメーカーモデルがY!mobileのSIMカードとセットで割引販売されているが、こうした手法も取られていない。手堅くまとめた端末で、コストパフォーマンスも高いが、競合他社との比較では、一部見劣りする部分もある。それだけに、これまで培ってきたGalaxyの知名度やブランド力がどこまで通用するかが、成否を決める鍵になりそうだ。
MVNOとのセット販売も強化していく必要がある。先の小林氏によるとMVNOからも「お声がけいただいており、検討もしている」という。現在、取り扱い条件などは「まさに交渉中」(同)とのこと。大手キャリアのGalaxyユーザーが乗り換えるきっかけになりそうなだけに、取り扱いたいMVNOは少なくないだろう。メーカーモデルのバリエーションを広げるかどうかは「やってみてからで、分からないというのが本当のところ」(同)だというが、よりローカライズを進めた第2弾、第3弾が発売されることにも期待したい。
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