「フレッツ光」通信障害、原因は「未知の不具合」 NTT東西が検証結果を報告(2/2 ページ)
NTT(持株)とNTT東日本、NTT西日本は28日、フレッツ光や光電話で生じた通信障害の検証結果を報告した。通信障害の原因は特定のネットワーク機器が抱えたバグだった。
デジタルツインやAIの活用でネットワークを強化
説明回の後半では、NTT(持株)の池田敬執行役員(技術企画部門長)が、NTTグループの通信障害対策の取り組みについて紹介した。
NTTグループで過去10年に発生した大規模障害は14件。このうち、後半の5年で発生したものは7件で、大規模障害そのものの発生回数が増えているわけではない。
一方で、通信サービスの普及や通信基盤の複雑化により、障害の影響範囲が大きくなり、大規模障害が起こった際の復旧対応は難しくなる傾向がある。このような状況を踏まえて、NTTグループでは2022年度から2025年度までに総額1600億円規模の投資を行い、ネットワークの強化を行っている。
大規模障害への対策としては、NTT東西、ドコモ、NTTコムの各社の技術部門が連携。各社のノウハウを生かし、課題の洗い出しや機器の総点検を進めている。
具体的には重要な機器の冗長化や、ネットワークの故障状況を可視化する機能の導入、運用部門から独立した監査部門によるネットワーク品質を維持する機能の導入などを行うとしている。
情報発信においては、発信体制を見直し、ネットワークの運用部門が障害発生後30分以内に速報を発出できるように体制を変更している。
将来的には、AIの活用によるネットワーク運用の高度化も見据えている。現実を模倣したデジタルツイン環境でさまざまな状況を踏まえたシミュレーションを行い、NTTがコグニティブ・ファウンデーションと呼ぶ、さまざまなレイヤーのネットワーク機器が協調して動作する高機能なネットワークの構築を目指すという。
ただし、通信障害への対策には限界がある。廉価な料金を提供するベストエフォート型のサービスでは、通信品質を高めれば高めるほど、ユーザーの負担額も増すことになる。昨今の半導体不足や部材高騰といった要因に加え、ユーザーあたりの通信量も増加傾向にあり、ネットワーク維持にかかるコストは上昇傾向にあるという。
池田氏は「1600億円を投資するが、それで『絶対に障害が起きない』とは残念ながら言えない。ベストエフォート型のサービスとして、今のお求めやすい料金を維持しながら、通信品質を高めていきたい。特に信頼性の高いネットワークを求めるユーザー向けては、BCP対策となるソリューションのラインアップを強化していきたい」と説明した。
NTT東日本では、固定回線を副回線としてモバイル回線を利用するサービスを提供している。また、NTTコムはドコモと他キャリアの2回線を切り替えて接続するサービスなどを提供している。NTTドコモでは総務省が議論を進める「非常時における事業者間ローミング」や、KDDIとソフトバンクが提供を開始した「デュアルSIMサービス」の対応も進めていく方針だ。
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