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「Tポイント」の名を捨て「Vポイント」になる理由 決済だけでポイント二重取り、スマホ決済に本格進出も(2/2 ページ)

三井住友フィナンシャルグループ(グループを総称して「SMBCグループ」)とカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は、新たな「Vポイント」(青と黄色のVポイント)を発表した。2024年春をめどに提供を開始する。

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スマホ決済の加速目指す「5年後にモバイル100%」

 SMBCグループとCCCは、新たなVポイントの導入を契機にTポイントユーザーのモバイル決済の利用比率を向上させる方針を示している。CCCMKの高橋誉則社長は「5年後までにモバイル利用率を100%にする」という目標を提示した。


5年後までにモバイル利用率100%という目標が示された

 CCCの増田CEOは、蔦屋書店の海外店舗でのキャッシュレス決済の利用比率のデータを紹介。それによると、キャッシュレス決済の利用率は97.3%に達しているという。増田氏は蔦屋書店は中国を中心にフランチャイズ展開を行っているため、コード決済のスマホの利用比率が高いとしつつ、「中国はコード決済で、現金を誰も使わない世界になっている。こうした世界が日本でも来るのではないか」と期待を示す。

 一方のSMBCグループは、三井住友カードが後押しする「Visaのタッチ決済」を軸にスマホ決済への転換を進めている。また、4月にはSMBCグループの決済アプリとして銀行口座、証券、金融、デビットカード、プリペイドカードなどの機能を統合したアプリ「Olive」の提供を開始している。SMBCの側から見ると、今回のポイント統合により、強力なポイントサービスが加わることになる。SMBCの太田社長は「Tポイントとの統合でミッシングリンクを埋められる。サービスの環が完成し、究極のフィナンシャルサービスが提供できる」と意義を述べた。

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三井住友銀行は、総合フィンテックアプリ「Olive」を提供している

データ分析にも相乗効果

 両者の統合は、加盟店向けのサービス向上の面でも効果が見込めるという。Tポイントはポイント会員が「どの店舗で何を買ったか」という“狭く深い”購買データを分析して、マーケティングに役立てている。そこにSMBCが保有するクレジットカードの「どの店舗でいくら使ったか」の“広く浅い”購買データを掛け合わせることで、購入者の動向の分析をより精緻に行えるようになる。

 なお、購買データ分析は会員の同意を取得した上で行われる。新しいVポイントの立ち上げに合わせて、Vポイント会員がどのようなデータを使われているのかをセルフチェックできるWebサイト「プライバシーセンター」を展開する予定としている。


両者のデータ基盤を統合し、“深く広い”マーケティングサービスの提供を目指す
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