ドコモは「irumo」が解約抑止に貢献、端末値引き上限4万円は「納得感がある」と井伊社長(2/2 ページ)
ドコモの2023年度上半期の売り上げは2兆9464億円(前年同期比+465億円)、営業利益は5808億円(前年同期比+43億円)で増収増益となった。新料金プランの「irumo」と「eximo」は「狙い通りの成果が得られている」と井伊氏は手応えを話す。ドコモショップへの来客数も増えているという。
ネットワーク対策にドコモのアプリも活用してデータを取得する
ここしばらく課題になっている、ネットワーク品質についても、井伊氏が改めて対策を説明。まずはユーザーの申告やSNSの情報、トラフィックやアプリのデータなど、さまざまなソースから情報を収集して、AIによる分析を行いながら、対策が必要なエリアを特定する。今後は「さらに高品質なデータ取得のために、品質情報が取得可能なドコモのアプリ数を増やしていく予定」(井伊氏)とのこと。例えばd払いやdTVなど、ドコモユーザーがよく使うアプリから通信品質の情報を取得できれば、より精度の高いデータが取得できるだろう。
対策エリアを特定した後は、マルチユーザーMIMOを導入して通信の高速化と大容量化を図る他、最適な通信経路を選択することで5G上り速度の改善などを図っていく。
既に東名阪の大都市を中心とした2000カ所の「点」、鉄道動線の「線」を組み合わせて集中的に対策を行っており、2023年12月までに90%以上の対策完了を、2024年3月には設備増設も含めて100%の対策完了を目指す。「他社のキャッチアップにとどまるのではなく、満足いただける改善を進めていく」(井伊氏)
なお、NTTの島田明社長はドコモのネットワーク対策について「12月までに90%と言っているが、できるだけ早い段階で100%、120%まで持ち上げていけるように」と檄(げき)を飛ばした。
「100%を年度内に完成させるといったのは、2000の箇所と、50を超える路線。(120%は)それ以外の点と線も、しっかりと増強しなさいと受け止めている。苦情が出る前に、予測をして、先に手を打つ。後追いになっている今の状況を深く反省して、しっかり進めていきたい」(井伊氏)
5Gのエリア拡大については、当初は新周波数帯のSub-6を活用したエリア構築にこだわっていたが、現在はLTEの既存周波数も組み合わせる運用に切り替えている。「既存周波数を使っている部分を拡大して、面的な広がり、カバー率を広げたい」と井伊氏。2023年度内に5Gの人口カバー率90%達成を目指す目標は変わらない。なお、ドコモの5G契約数は2023年9月時点で2484万2000に達した。
楽天モバイルのプラチナバンドは「1年くらいでできる基地局数ではないと思う」
楽天モバイルが700MHz帯のプラチナバンドを取得した件も質疑応答で井伊氏は言及。既存キャリアのプラチナバンドを再割り当てするかどうかの議論がある中で、特定ラジオマイクと地上デジタルテレビ放送の干渉対策で空いている700MHz帯を、割り当て候補としてドコモが提案したという経緯がある。
「既存キャリアが使っている周波数帯を流用するなら時間がかかるし、お客さま対応も大変だろうと。(割り当て対象の700MHzについては)他の周波数との干渉がないかどうかの技術的な検証にも協力して、大丈夫だろうということで割り当てられた。あとは強く希望されているR社(楽天)さんが、しっかりネットワークを構築して活用されると考えている」(井伊氏)
楽天モバイルが700MHz帯を運用したサービスの開始日を2026年3月頃とやや保守的に見積もったことに関しての所感について、井伊氏は明言を避けた。「特にコメントはないが、利用を求めていたR社さんがそのスピード感でやるなら、そうなのだろうと思っている。LTEのアンテナは大きくてそれなりに場所も必要。1万局くらいは申請されていると思うので、1年ぐらいでできる数じゃないと思う。そこをしっかり現実的に考えて示された計画なのだと思う」(井伊氏)
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