スペックダウンでも「Xperia 1 VI」に触れて“納得”した理由 「らしさ」を犠牲にして得たもの(2/2 ページ)
4K解像度のディスプレイや21:9の画面アスペクト比が廃止された「Xperia 1 VI」。Xperiaらしさが失われたとみる向きもあるが、実際に触ってみると、納得する部分が大きい。3つのカメラアプリは1つに統合されたが、使い勝手が向上したと感じた。
体験重視のXperia 1 VI 唯一無二の魅力を犠牲にしてでも得たものは大きい
Xperia 1 VIではさまざまな変化があったものの、変更点は多くは利用者、そしてコンテンツ制作者の声を取り入れつつ、現行のトレンドもくんで作り上げた印象だ。これは実際に手に取ってみると納得させられたことも多く、「触ってみないと分からない」スマホだと感じた。
今までの唯一無二な魅力は一部失われたとしても、これを犠牲にしてでも得るものが多いと評価したい。今回は4K解像度と21:9比率の画面を失ったが、得たものは「画面輝度の高さ」「倍以上のバッテリー持ち」「現状のコンテンツへの最適化」の大きく3つだ。一般利用者のニーズとしてはこちら側への進化が望ましい。
カメラについても「分かりやすさ」を重視した構成に変わった。筆者としてはカメラアプリの統合は賛成だ。「唯一無二のXperiaらしさが失われた」といった意見はSNSなどで散見されたが、Cinema ProやVideo Proの機能面はユーザーに利用してもらえなければ始まらない。
スマートフォンに大切な手軽さ、とっつきやすさが大きく欠けており、Xperia 1 VIではこの部分に大きな改善が入ったと考えるべきだ。
もちろん、ユーザーからの支持が根強い3.5mmイヤフォンジャックやmicroSDスロットといった機能は引き続き残されている。長く使えるバッテリーはもちろん、今回は3回のOSアップデートを明言するなど、以前よりも長期間安心して利用できる環境も整えてきた。
また、一般的な比率、解像度のディスプレイとしたことで、従来の4Kディスプレイと比較してコストダウンができていると考える。この円安状況でも直販価格を18万9200円(メモリ12GB、ストレージ256GB)の設定にできた大きな理由だろう。
前評判では「画面がグレードダウンした」「カメラアプリのアイデンティティーがなくなった」といったネガティブな意見が多く、「ソニーらしさが失われた」という評価が先行したXperia 1 VI。筆者もどちらかといえば、今回の変更を受けて「大丈夫なのか」という疑念が先行した身だ。
一方で、実機を触ってみるとそのような疑念は見事に払拭(ふっしょく)された。Xperia 1 VIはクリエイターの声を取り入れ、随所にソニーらしいこだわりを持って作られているスマートフォンだと実感できた。特に画面輝度の向上は、従来モデルの利用者からなら誰が見ても明らかに分かる大きな変化だ。
Xperia 1 VIはソニーストアをはじめ、全国の量販店でも実機が展示され始めている。興味がある方は店頭でじっくり触って変化してもなお輝く「ソニーらしさ」を体感してほしい。
著者プロフィール
佐藤颯
生まれはギリギリ平成ひと桁のスマホ世代。3度のメシよりスマホが好き。
スマートフォンやイヤフォンを中心としたコラムや記事を執筆。 個人サイト「はやぽんログ!」では、スマホやイヤフォンのレビュー、取材の現地レポート、各種コラムなどを発信中。
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