「鉄道きっぷのオンライン予約」は便利だが課題も多い 各社のサービスを使って感じたこと(3/3 ページ)
鉄道のきっぷをオンラインで予約するサービスが普及しつつある。多くの駅で指定席券売機が導入され、20世紀に比べると、買いやすい環境が整った。Webによるきっぷの予約、発券サービスについて、メリットとデメリットを考えた。
えきねっと、e5489で共通している課題
えきねっと、e5489で共通していることは2つある。1つ目はコンビニエンスストアや金融機関のATMでの支払いに対応していること。そのほとんどは現金払いのみという制約がある。
2つ目は、みどりの窓口のように万能ではないことだ。まず、青春18きっぷやJR他社の企画乗車券を扱っていないことを挙げたい。青春18きっぷは国鉄時代から40年以上も続くベストセラー商品なのだから、より買いやすい環境を整備してほしいと思う。この他、東北・北海道新幹線の特定特急券(東北新幹線盛岡以北で適用)、立席特急券、寝台券も車なども取り扱いの対象外である。
次に例として、特急〈ひたち〉を利用する際、東京―浪江間274.4キロの乗車券についても、東京―上野間は新幹線経由、上野―浪江間は在来線経由といった買い方もできない。東京―浪江間は東京近郊区間エリアなので、在来線経由(エリア内に限る)の乗車券は有効期間が1日限りで途中下車もできないのだ。新幹線経由にすると、途中下車ができるうえ、有効期間も3日間に増える。
クレジットカードでも1回払いのみ対応している。JR東日本・西日本とも自社ブランドのクレジットカードを運営しており、例えば、前者のビューカードであれば、管内のみどりの窓口に限り、分割払いができる。もっとも、特定のクレジットカードだけで分割払いが認められるのもいかがなものかと思う。
最後に、えきネット、e5489とも、列車限定、席数限定、区間限定を撤廃した方がよい。より鉄道を利用しやすく、より鉄道に親しみやすく、より鉄道を選んでいただくためにも。
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