「Apple Intelligence」の日本語解禁で“スマホのAI競争”が激化 Android陣営とは何が違うのか:石野純也のMobile Eye(2/4 ページ)
Apple Intelligenceが日本語に対応したことで、スマートフォンのAI競争が激化しつつある。AIエージェント化ではAndroidが一歩リードしているが、雌雄を決するほどの差にはなっていない。AIスマホがユーザーの買い替えを促進していることを示唆するデータも出ている。
直感的に使える画像生成、絵文字を作れる「ジェン文字」も
画像生成には、「Image Playground」というアプリが用意されたが、この機能もメモアプリやメッセージアプリなどに組み込まれている。メモアプリでは、手書きでサッと描いた下書きを元にイラストを生成する、「画像マジックワンド」を利用できる。下書きの構図を参考にしながら、テキストで補うことで目的のイラストを生成しやすいUIが採用されている。
メッセージは「ジェン文字」という形で応用された。これは、生成AIを意味する「Generative」と「絵文字」を掛け合わせたAppleの造語で、文字通り、画像生成機能で新規の絵文字を作る機能だ。作った文字はフォントではなく、あくまで画像だが、絵文字キーボードから呼び出せる。また、メッセージやメールアプリの本文に貼ると、フォントと同サイズになって絵文字のように扱うことが可能だ。画像生成機能をそれとして提供するのではなく、用途に合わせてアプリ内に組み込んでいる点は、作文ツールとの共通点だ。
生成AIになじみのないユーザーに使いやすよう、UIも工夫されている。上記のImage Playgroundは、それが顕著だ。生成AIの画像生成というと、複雑な指示を組み合わせるプロンプトエンジニアリングがおなじみだが、Image Playgroundはあらかじめ提示されたキーワードをタップするだけ。写真をもとに、顔のイラストを作る機能も用意されている。
他にも、メールやブラウザに組み込まれた要約機能や、「写真」アプリの文章を理解できる素早い検索、会話の文脈を理解できるようになったSiriなど、Apple Intelligenceが適用される範囲は多岐にわたる。いずれも、それ単体で存在するものではなく、既存の機能やアプリを生成AIでブラッシュアップするものに仕上げられており、ユーザーが構えることなく向き合うことができる。
関連記事
iPhoneの使い方が劇的に変わる? 日本語対応した「Apple Intelligence」を試す
Appleが独自に開発した生成AIサービスの「Apple Intelligence」が、4月から日本語に対応する。iPhone 16シリーズは「Apple Intelligenceのために設計されたiPhone」とうたっているだけに、ついにその本領を発揮するときが来た。開発者向けβ版の「iOS 18.4」でその実力を試した。2025年は「スマホAIのエージェント化」が進む アプリも巻き込んでエコシステムが大きく変わる予感
MWC Barcelona 2025では、急速なAIの拡大により、スマホのトレンドが変わりつつあることが見えた。生成AIや、端末上でそれを動作させるオンデバイスAIはもはやスマホの必須機能になりつつあるが、2025年は“エージェント化”がキーワードになっている。MWCから見えた、新たなスマホのトレンドを解説していく。「Galaxy S25」シリーズが“Androidを再構築”したといえるワケ GoogleとAI強化も差別化には課題も
「Galaxy S25」シリーズのハードウェアや外観は2024年に発売された「Galaxy S24」「Galaxy S24 Ultra」から大きな変更はない。一方で、サムスン電子がUnpackedで全面に打ち出したのは、「Galaxy AI」や「Gemini」の進化だった。こうした点から、サムスン電子の新たなAIスマホ戦略が垣間見える。「iOS 18.4」リリース 「Apple Intelligence」の日本語対応など多数の新機能
Appleは、iPhone向けの最新OS「iOS 18.4」を配信した。「Apple Intelligence」が日本語でも利用可能になるほか、複数の修正や強化が実施される。セキュリティ関連の脆弱性にも対処している。Apple、生成AI「Apple Intelligence」発表 オンデバイス処理でSiriも大幅進化、ChatGPTとも連携
Appleが独自の生成AI「Apple Intelligence」を発表した。さまざまなデバイスやアプリで活用できる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.