KDDI松田社長就任でサービスはどうなる? 通信とAIを融合、Starlinkで日本全土をauエリアに(4/5 ページ)
2025年4月1日、KDDIの高橋誠氏から代表取締役社長のバトンを受け継いだ松田浩路氏。KDDIのサービスは、今後、どうなっていくのだろうか。就任から9日後の10日、都内で開催した記者会見で、松田氏自身が詳細に語った。
ついに「au Starlink Direct」開始 国土面積のカバー率は60%、衛星で残り40%(ほぼ全土)をauエリアに
松田新社長の会見と同時に、auのスマートフォンと衛星を直接つなぐサービス「au Starlink Direct」も発表し、同日に開始した。これまで圏外だった場所でも、空が見える場所であれば通信を行える。松田氏は、「国土面積のカバー率は60%にとどまっており、残り40%を何とかしたいという思いで、衛星通信を使った方法を模索し検討を進めてきた」という。
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地下や高層ビル(住宅内やオフィス)などでも電波が届かずに通信ができないエリアは存在しているが、au Starlink Directは山間部や沿岸部などのへき地での利用を想定したサービスとなる。同様のサービスは、米大手通信キャリアのT-Mobileが既にβ版として提供しているが、日本の提供は今回が初めてとなる。
海外では「Direct-to-Cellular」とも呼称されるスマートフォンと衛星通信の直接通信サービスは、米大手通信キャリアのT-Mobileが既に提供している。画像はT-Mobileのニュースリリースより引用
対応機種の数は、iPhone 16シリーズやAndroid(Google Pixel、Galaxy、Xperia、AQUOS、Xiaomiなど)を含む50機種、台数にして約600万台。松田氏は、利用料について「当面の間は無料」と話した。
サービス開始当初は画像/動画のやりとりはできず、基本的にはテキストでのやりとりが可能だ。絵文字は使えるが、スタンプの送受信はできない。Gemini(の実行はAndroidのみ)を含むメッセージの送受信は、ほんの数秒で実行できる。データ通信については、2025年夏以降に対応する予定だが、音声通話の具体的な対応時期は不明だ。
Androidスマートフォンのメッセージアプリでは、ユーザーがGeminiに質問できる。圏外では情報を得られないが、au Starlink Directによるエリア化により、ほんの数秒で回答を得られる
地上から340kmの距離にある基地局とスマートフォンが直接つながることで実現しており、Starlinkを手掛けるスペースXの衛星600機を用いている。送受信に利用するのは、4G LTEのうちBand 1(2GHz帯)のみ。auの通信サービスにおいて、既に使用されている帯域のため、他の多くのユーザーがこの帯域に一斉にアクセスしすぎないように、接続を分散させるなどのチューニングを実施しているという。
UQ mobileとpovoへの提供については、「今後、検討していく」(松田氏)との回答にとどめた。
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