au回線で解禁された「iPhoneのRCS」を試す SMSより断然快適、メリットと課題は?(3/3 ページ)
KDDIは4月1日、AndroidとiOS間で大容量の画像やデータをやりとりできる「RCS(Rich Communication Services)」を開始した。当初は大々的に告知せず、β版のiOS 18.4を搭載したiPhone向けに提供したが、4月1日にau、UQ mobile、povo1.0のiPhoneユーザーへの提供開始を発表した。実際の使用感を実機で確認した。
PCからでも利用可能に スマホと同じアカウントを使うか、ペアリング作業が必要に
PCでもスマートフォンと同じくメッセージを送受信できるのもRCSのメリットだ。
Googleが提供している「PC版Googleメッセージ」機能を利用すれば、PCのWebブラウザからRCSを利用してやりとりできるようになる。この機能は、WindowsでもMacでも、OSに関係なく利用できる。設定さえ完了すれば、スマートフォンは手元に置いたまま、PCでメッセージの確認や送信ができる。
使い方はとてもシンプルで、まずPCのブラウザでPC版Googleメッセージのサイトを開き、スマートフォンと同じGoogleアカウントでログインする。次にスマホのGoogleメッセージアプリを開いて、PC画面に表示される絵文字を選ぶだけで接続(ペアリング)が完了する。
別の方法でもペアリングができ、PCに表示されるQRコードをスマートフォンのカメラで読み取るだけで設定が完了する。1台のスマートフォンに対して複数のPCやタブレットをペアリングすることも可能だ。
これまで、SMSが「1台のスマートフォンでしか使えないから不便」と感じていた人にこそ、こうした方法を使ってほしい。ただし、言うまでもなく、PCからアクセスする場合は、Wi-Fiネットワーク環境下にいる必要があるので注意が必要だ。
Google メッセージを標準搭載する動き KDDIはいち早く対応
このように、RCSはグローバルではGoogleが主導する形で、キャリアに依存しないRCSの仕組みが整っていた。Androidでは、Googleが自前でRCSの仕組みを提供しており、どの回線を使っていてもRCSを利用できる。そして最近になり、ようやくiOSとの相互接続も進み、KDDI以外の国内キャリア側の対応さえ整えば、どの国内キャリアを利用していてもiPhoneとAndroid間でもRCSの機能を使えるようになる。
日本はRCSの導入自体は早かったのだが、国内の各キャリアが独自のサービスとして運用していたために、利用者同士のやりとりが制限されてしまっている。+メッセージとRakuten Linkに互換性がないことが、この点を裏付けている。こうした影響を受けてか、近年はキャリア主導のRCSアプリではなく、Google メッセージを標準搭載するSIMフリーのAndroid端末が増えている。
KDDIもこうした動きにいち早く目を付け、「メッセージサービスの魅力向上」に向けて、「Google メッセージアプリをAndroid端末の標準アプリとして今後、追加で採用する」と2024年5月16日に発表した。メッセージサービスの魅力向上が実るか否かは、残るドコモ、ソフトバンク、楽天モバイルはどうしていくのか、この3キャリアの対応次第といえる。
関連記事
SMS、MMS、RCS、iMessageの違いは? 今さら聞けないスマホの「メッセージ」サービス
2024年夏、iOS 18の「メッセージ」アプリがRCSに対応するということが大きな話題となりました。これで、iPhoneとAndroidでリッチなメールがやりとり可能になる見込みです。RCSのリリースを期待しつつ、MMS、SMS、そしてiMessageといったメッセージ規格についておさらいします。KDDIの「Google メッセージ」採用で「+メッセージ」はどうなる? iOS 18のRCS対応も追い風に
KDDIは、Android端末の標準メッセージアプリとして、「Google メッセージ」を採用していきます。Google メッセージは、グローバルで標準化されたメッセージ規格である「RCS」に準拠しています。同じくRCSに準拠している「+メッセージ」の今後が気になります。AppleがiPhoneの「RCS」採用を決めたワケ それでも“フキダシの色”は変わらない?
Appleが2024年後半にメッセージサービスのRCSを導入する方針を明らかにしました。AndroidとiPhoneユーザー間でも、これまで以上に気軽に画像の送受信などが行えるようになります。ここにきてRCS採用に動いたのは、EUのデジタル市場法(DMA)の影響がありそうです。SMSやキャリアメールとの違いは? 「+メッセージ」でできること、できないこと
3キャリアが5月9日から提供する「+メッセージ」。SMSの後継となるサービスだが、何ができるのか? フィーチャーフォンや格安SIMでは使えるのか? 今、分かっていることをまとめた。衛星通信サービス「au Starlink Direct」の戦略を解説 なぜau限定? 有料化の可能性は?
KDDI松田浩路氏の社長就任会見に合わせて、衛星との直接通信サービス「au Starlink Direct」を発表。KDDIは米SpaceXと提携し、基地局のバックホールに活用するとともに、法人、自治体にStarlink端末を販売してきた経緯がある。対応機種は50機種に及び、GoogleのGeminiも活用してデータ通信の制約を補っていく。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.