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“パナソニックのケータイ”が令和に復活──USB Type-C充電や約8日間の待ち受けが可、「KX-TF400」を欧州市場向けに発売

パナソニックは2025年7月、新たな4G対応フィーチャーフォン「KX-TF400」を欧州市場向けに発売する。欧州の主要小売店、Amazon、パナソニックの公式サイトなどが取り扱う予定で、価格は49.90ユーロ(約50ポンド)を見込む。通話やメッセージといった基本機能に特化した設計となっている。

 パナソニックは2025年7月、新たな4G対応フィーチャーフォン「KX-TF400」を欧州市場向けに発売する。欧州の主要小売店、Amazon、パナソニックの公式サイトなどが取り扱う予定で、価格は49.90ユーロ(約50ポンド)を見込む。通話やメッセージといった基本機能に特化した設計となっている。


4G対応フィーチャーフォン「KX-TF400」

 KX-TF400は、SNSやゲームといった機能をあえて省くことで、話すこと・聞くことといった本来のコミュニケーション手段に立ち返らせる設計思想が貫かれている。最大5時間の連続通話、200時間(約8日間)の待ち受けが可能で、毎日充電する必要がないのも大きなメリットだ。充電はUSB Type-Cケーブルで行う。

 形状は手のひらやポケットにも収まりやすいチョコバー型で、ディスプレイは2.4型の液晶を採用する。見やすい大きめの文字を表示でき、物理キーには分かりやすいアイコンとくっきりとした数字が並ぶ。キーボード中央のボタンからは、メッセージ、カメラなどへすぐにアクセスできる。

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形状は手のひらやポケットにも収まりやすいチョコバー型。いわゆるストレートタイプの携帯電話だ

 VoLTE(Voice over LTE)に対応しており、4Gや5Gネットワーク上で高音質な通話が可能。これまで使い慣れた操作感はそのままに、通信規格の進化にも対応している。イヤフォン端子も搭載しており、音楽を再生することも可能だ。

 IP44等級の防滴・防塵(じん)性能を備えており、屋外や作業現場、水辺での使用にも安心感がある。予備の携帯電話としての活用も想定されている。


イヤフォン端子を搭載している

IP44等級の防滴・防塵(じん)性能を備えている

「Pのケータイ」の記憶と、スマホ市場からの撤退

 パナソニックといえば、日本国内ではかつてNTTドコモの「P」シリーズなどで知られ、長年にわたってフィーチャーフォンを提供してきたメーカーだった。しかし、2013年9月には、子会社のパナソニック モバイルコミュニケーションズが国内個人向け携帯電話事業の終了を発表。スマートフォン分野でも一時は「ELUGA」シリーズを投入したが、XperiaやGalaxyといった競合他社との競争に後れを取った。

 当時のドコモによる「ツートップ戦略」では、「Xperia A」や「GALAXY S4」が販売施策の中心となり、他社の国産スマートフォンは表舞台から押し出される形となった。パナソニックもその影響を大きく受け、最終的にスマートフォン事業からの撤退を余儀なくされた。

 それでもスマートフォン「ELUGA P」には物理テンキー配列や片手操作に配慮したUIなど、独自の工夫が光っていた。スマートフォンに移行するユーザーに向けた丁寧な設計思想は、今でも一部のファンに語り継がれている。

日本市場への投入は未定

 KX-TF400は欧州市場向けモデルとされており、日本での販売については現時点で言及されていない。だが、スマートフォンではなく、シンプルな“ガラケー”を好む層が一定数存在する日本市場においても、こうした端末の需要は決して小さくないはずだ。

 通話を主用途とする人や、子どもにアプリの誘惑が少ない端末を持たせたい親にとって理想的なKX-TF400は、日本市場で選択肢の少ない「日本のSIMフリーケータイ」として展開すれば、再び注目を集める可能性がありそうだ。

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