「Pixel 10/10 Pro」はスマホの使い方をどう変えるのか “スペックシートに表れない”進化が差別化に(2/3 ページ)
Pixel 10シリーズは、外観やスペックなどが前モデルの「Pixel 9」から大きく変わっていないようにも見える。全面に打ち出されているのはAIのGeminiだ。こうした端末のコンセプトから、Googleの戦略や狙いを読み解いていきたい。独自チップ「Tensor G5」が可能にする機能が差別化要素になる。
オンデバイス上で実現した先進的なAIで差別化を図る
機能として先進的なのが、ユーザーの行動を先回りしてお勧めの情報を画面内に提示する「マジックサジェスト」だろう。例えば、電話をしている最中に、明日の予定を尋ねられたとする。マジックサジェストは、そのときにGoogleカレンダーやGmailの情報の中から予定を自動的に見つけ出し、それをユーザーに提示する。メッセージでも、同様のことが可能だ。
これを手動でやるのは、なかなか手間がかかる。Pixelは画面分割はできるが、まずアプリの履歴を呼び出し、アプリ名をタップしたあと「画面分割」を選択して、さらにそこからGoogleカレンダーを探して、立ち上げたあと、次の日の予定を確認するといった手順が必要になってくる。タップやフリックを何度も駆使しなければならず、手数は非常に多い。
マジックサジェストは、AIがユーザーの利用動向を学習して、コミュニケーションの中身に合わせて最適なコンテンツを提示することで、その手間を削減するための機能だ。プルナスキー氏は「マジックサジェストは、アプリで行うことが増えれば増えるほど、アプリ間を移動するのに費やす労力が増えるという考えに基づいて作られている」と語る。
この手の機能は、実際にどこまで文脈に沿って最適な情報を集めてくるのか、使い込んでみるまで分からないのが難点だが、説明通りにきちんと動作するのであれば、かなり役立つものになることは間違いない。過去モデルからの大きな進化になっているのと同時に、他社のスマホとの差別化にもなる。スペックシートに表しやすい機能ではなく、AIで特徴を出したというわけだ。
Pixelがやや後れを取っていた音声通話の翻訳にも、「マイボイス通訳」という新機能が加わっている。当初は英語を起点に、多言語に翻訳する仕組みだが、日本語にも対応。日本語を話す日本のユーザーの視点で見ると、英語のみと翻訳ができる機能になる。特徴は、自分の声がそのまま相手の言語に翻訳されるということ。機械的な音声ではないため、通話の途中で使っても相手が驚くことが減りそうだ。
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