3Mピクセルがゴール〜「A5406CA」カシオの狙い(2/2 ページ)
3年前から、折りたたみスタイルで3Mピクセルを、カメラ付き携帯のゴールイメージとして持っていた──。au初のカメラ付き携帯、メガピクセルカメラ、AF付き2Mピクセル。いくつもの通過点を経て、たどり着いた3Mピクセルカメラ付き携帯の狙いを、カシオに聞いた。
CCDサイズはさまざまなものとのトレードオフだ。デジカメのスペックを見ると、高級機ほどCCDサイズが大きいことが分かるだろう。CCDサイズが大きいほど感度も良く高性能だが、逆に光学サイズも大きくなってしまう。高級機が大きいのはこん理由がある。携帯でいえば、厚みが増してしまうわけで、普通の携帯メーカーはこれを嫌う。A5406CAのカメラモジュールでは、AFのステッピングモーターを小型化することなどでサイズ拡大をギリギリに抑えた。そのため厚みは1ミリほど増えているが、外形寸法はほとんど変わらない。
さらに、大きなサイズのCCDほど高画素化が容易だ。カシオのメガピクセル機「A5401CA」と2Mピクセル機「A5403CA」は、画素数こそ異なるが光学系の設計は流用できる部分が多かったという。CCDサイズが同じ1/2.7インチだったからだ。A5406CAでは3Mに達したが、これをさらに高画素化する可能性はあるのだろうか。
「1/1.8インチであれば、6Mくらいまでいけますね」と石田氏は笑う。「ただしレンズが難しい。デジカメのようなレンズを付けていいならいけますが」。
光学ズームか3Mか〜悩んだ時期も
この時期、携帯カメラの進化方向も多様化している。シャープはボーダフォン向け端末「V602SH」で光学2倍ズームを搭載したし、動画の録画・再生に注力した端末も増えてきている。カシオが“光学ズームではなく3M”を選んだ理由はどこにあったのか。
「光学ズームか3Mか、悩んだ時期もあるんです。ただし光学ズームは、段階があってこそズームだと思った。2焦点はレンズも設計できるかもしれないが、“好きな画角で撮れますよ”というのは、今の技術ではデジカメ並のレンズを持ってこないとできない」
デジカメで光学ズームといったら、リニアにズームして好きな画角で止められることを指す。現在のところ、携帯に使われている光学ズームは、“1倍あるいは2倍”の2段階ズームでしかない。
敢えて3Mを選んだ背景には、画素数が多ければデジタルズーム時に劣化しないという理由もあるという。携帯の液晶で見る限り、デジタルズームでも劣化なしで十分な倍率が実現できるからだ。
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WINに先行して導入〜音質向上のためのステレオスピーカー
A5406CAのもう1つのポイントは、着うたにも対応したステレオスピーカーの採用だ。「本当はWINで秋くらいに出すつもりだったんですが、ステレオはデザインに与える影響が大きい」(石田氏)ことから、A5406CAへの導入を決めた。
背景にあったのは、この時期予定されいてる着うたの高音質化だ。KDDIは、MP3圧縮を使ったAMCフォーマットの着うたを、AAC圧縮を使った3GPP2フォーマットに変更する(2003年12月24日の記事参照)。
「音質向上の目的で、着うたのコーデックをAACに変えることは決まっていた。ただしステレオとモノラルってすごい違いが出るんです。音をよくするのが目的だったらステレオにすべきじゃないか。いわゆるステレオというより、高音質を目指した」
実装面でも工夫した。電池カバー上部に配置したスピーカーは、外側を向いており、机に置いたときもきれいに音が出る。2つのスピーカーの間に壁を作って、干渉を防ぐ工夫もしている。人の耳の間隔よりも狭いところにあるスピーカーでステレオにするために、DiMAGICのバーチャライザー技術も導入した(2003年6月4日の記事参照)。ヤマハの新音源チップ「MA-5Si」に実装されている。
スピーカーの直径自体は、モノラル機の16ミリから14ミリ×2に替わり、小さくなっている。小さなスピーカーでも大きな音を出すため、3バンドのデジタルイコライザーも初めて採用した。各音域について、割れる音域のボリュームを下げ、抜ける音のボリュームを上げ、全体として音割れのない大きな出力を実現している。
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