第7回 というか「遅すぎ」ですぞ、アレは:「Walkman Phone, Xmini」ロードテスト
Walkman Phone, Xminiロードテストの最終回は、新しくなった楽曲転送ソフト「LISMO Port」のよくなったところと“許せない”ところ、そして、結局「Xminiってどうよ」という点を考察する。
意外に使えるようになった「LISMO Port」、ただ許せないのが……
「Walkman Phone, Xmini」(以下、Xmini)専用というわけではないが、楽曲管理・転送ソフト(LISMO Port)も着実な進化を遂げていた。
従来の転送ソフト「au Music Port」はMP3データが扱えないなど、PCも普通に使いこなすユーザーにとってかなり不便な点が多かったが、現在はMP3、WMA、AAC、WAV、ATRACのインポートに対応し、著作権保護されたWMAやAACデータ(iTunes Music Storeで購入した楽曲など)以外の多くのファイルが扱えるようになった。
さらに2008年12月にリリースされたバージョン3.0(2009年3月23日現在のバージョンは3.1)から音楽CDの作成も行えるようになり、この機能のためだけにほぼ同機能を持つ「SonicStage」と共存する必要もなくなった。もっとも、ダウンロード購入したデータを音楽CDに書き込みできるのは「mora for LISMO」で販売されている一部の楽曲のみで、「LISMO Music Store」で販売される楽曲を一切音楽CDには書き込み(バックアップ)できない制限があるのは相変わらずなのだが、まぁこれは仕方ないのか。
このように、LISMO Portそのものはなんとか気にならない使い勝手になった。ただ、どうしても「転送速度の遅さ」は許容できない。
XminiはUSB2.0 Hi-Speed(理論値最大480Mbps・60Mバイト/秒)に対応し、実際にPCから見えるデバイスとしてもUSB2.0 Hi-Speedで認識される。しかし、実転送速度は“遅っ”。例えば、転送時にフォーマット変換が必要がない約10Mバイトの音楽ファイルを1曲転送するだけで60秒以上もかかる(約1.33Mbps)。この速度で使用できる内蔵メモリの約3.5Gバイト分まるまる転送するとなると、単純計算で6時間ほどかかってしまう。
これは、転送時に暗号化する都合もあると思われ、もちろん毎回6時間もかかるわけではないが、あまりに遅すぎ(ちなみに、ウォークマン転送機能を使って同じファイルをメモリースティックDuoに転送すると、1曲5秒もかからない)。楽曲転送は「夜、寝ている間に」仕様なのだ。これだけ時間がかかるとなると「転送に時間がかかるので面倒」と思ってしまい、せっかくの“ウォークマン機能”の魅力が薄れてしまいかねない。
「これが仕様です」というなら仕方ない。それならば付属するUSBケーブルを「充電対応タイプ」にするくらいの配慮がほしかった。「“寝ている間”に新しい楽曲を転送し、外出したら間もなく電池切れ」──これほど悲しいことはない。
割り切りもクセも多いが、魅力も多い
Xminiは、機能をあえて絞っているおかげかどうかは分からないが、KCP+を採用する端末で散見される“不安定な動作”に出くわすことは意外にまったくなく、動作レスポンスも取り立てて不満は感じていない。筆者はXminiが初めてのKCP+なのだが、2007年秋冬モデルや2008年春モデルなどの採用初期の頃は置いておいて、2008年秋冬モデルになると悪い噂はあまり聞かなくなった。2008年夏モデルまでのソフトウェアアップデートの頻度を振り返ると、改善は着実に進んでいるととらえてよいだろう(ただ、こう書いているところで、ソフトウェアアップデートがあったりするのはご愛敬……)。
もっともauの2009年春モデルとしては、より高機能な「Walkman Phone, Premier3」や「Cyber-shotケータイ S001」などもある。これらは同じソニー・エリクソン製端末ながら、Xminiとは方向性や機能が大きく違うハイエンドな端末として、多くの人が魅力と感じるはずだ。
それをふまえて、Walkman Phone, Xminiの魅力は小型軽量のボディとあえて機能を省いた心意気にある。
首に下げても重さを感じないし、“ちっこい”ので衣服のポケットにも無理なく放り込める。もっともこのサイズにしては少し厚いのだが、角ばった部分がないので少々タイトなズボンのポケットに入れても違和感は感じにくい。携帯電話に多くの機能を求めない人にとって、この携帯性だけでも大きな魅力なのである。
関連キーワード
Bluetooth | Walkman Phone, Xmini | Bluetoothヘッドセット | ハンズフリー | au | LISMO | ウォークマンケータイ | 通勤時間 | ワイヤレススピーカー
関連記事
- 「Walkman Phone, Xmini」関連記事一覧
- ロードテスト:ワンセグない、カメラもない──いいえ、いらないんです
auの第3弾ウォークマンケータイ「Walkman Phone, Xmini」は、昨今のケータイとして“相当いさぎよい”とがった仕様が特徴。そして、本家ウォークマンにも見劣りしない小型軽量ボディが特に大きな魅力なのである。 - 写真で解説する「Walkman Phone, Xmini」
ソニー・エリクソン製の「Walkman Phone, Xmini」は、音楽機能に特化した手のひらサイズの超小型スライドボディが特徴。ワンセグやおサイフケータイ、カメラなどは備えないが、4Gバイトの内蔵メモリやBluetooth、“ウォークマン”シリーズの高音質技術を内蔵し、閉じたままでも操作できる表面のタッチセンサーキーで快適に“ケータイ音楽”が楽しめるよう開発された。 - レビュー:着信LEDと通知ランプはどこにある?――「Walkman Phone, Xmini」
ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ製の音楽ケータイ「Walkman Phone, Xmini」は、超小型ボディと凹凸のないフラットなデザインが特徴だ。第1回ではキーバックライトや着信LEDなどについて調べた。 - インタビュー:「Walkmanにケータイを載せました」――こうして「Walkman Phone, Xmini」は完成した
「Walkman」の名を冠する本格的な音楽ケータイとして、そして幅44ミリ/高さ75ミリの超小型ケータイとして登場した「Walkman Phone, Xmini」。そのサイズとデザインが大きなインパクトを放つWalkman Phone, Xminiは、どんなコンセプトで開発されたのだろうか。ソニー・エリクソンに聞いた。 - コンパクトボディに4Gバイトメモリ内蔵、着うたフルプラス対応──「Walkman Phone, Xmini」
KDDIは、“本格的に音楽を楽しむ”ユーザー向けのソニー・エリクソン製コンパクトスライド端末「Walkman Phone, Xmini」を発表。12月下旬以降に発売する。4Gバイトの内蔵メモリを搭載し、新たに発表したAAC 320kbpsの「着うたフルプラス」に対応し、高音質な音楽が楽しめる。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.