メディアの垣根を越えた“新メディア”登場――「EZニュースEX」の挑戦
ビジネスモデルの転換期を迎えた3業種が、新たな情報配信プラットフォームを立ち上げ――。テレビ、新聞、携帯電話の3業界の連携から生まれたのが「EZニュースEX」だ。
ビジネスモデルの転換期を迎えた3業種が、新たな情報配信プラットフォームを立ち上げ――。朝日新聞社とテレビ朝日、KDDIの3社が提供するEZニュースEXは、新たな収益源の確保が急務となっている3業界が連携して生み出す“メディアの垣根を越えた新メディア”ともいえるサービスだ。
EZニュースEXはひと言でいうと、新聞やテレビのコンテンツを携帯電話で観たり読んだりできるようにするサービス。ニュースは、1日200本以上のニュースがプッシュで30分ごとに端末の中に送り込まれ、これまでの携帯電話向けニュースのようにWebに接続する手間をかけずに読むことができる。
月額262円の有料版ではプッシュ配信されたニュースが端末内に保存され、電波の届かない場所で読むことも可能(動画やアーカイブなどの一部コンテンツを除く)。ニュースの配信は速報性も重視しており、3社が立ち上げた24時間体制の編成センターを通じて、リッチで質の高いニュースを配信するという。ニュースは地方版のコンテンツも用意され、出張先や出身地などのローカルニュースもチェックできる。
また、最近のメディアのトレンドともいえるパーソナライズにも対応。天気や占いに加え、あらかじめ登録した鉄道路線の遅延情報を配信したり、利用者が登録したキーワードに合致したニュースをまとめて表示するなどの機能も備えている。
ビジネスモデル変革期“期待の新メディア”
協業3社はともに、この新メディアになみなみならぬ意気込みで臨んでおり、テレビ朝日 常務取締役の神山郁雄氏は「この新たなポータル事業を何としても成功させ、大きな柱の1つとして育てていきたい」と期待を寄せた。
放送業界は、2011年の地上デジタル放送への完全移行を間近に控えて激変期を迎えていることに加え、おりからの不況で広告収入が減少傾向にあり、テレビ朝日もその影響とは無縁ではない。業界では放送以外の事業の収益を伸ばすことが話題になっているといい、神山氏は「この事業に、万全を期していいコンテンツを提供したい。端末の普及に向けたプロモーションにも協力する」と話す。
「創刊以来120年、自前主義でやってきた」と話す朝日新聞社 デジタルメディア担当の和気靖氏は、EZニュースEXの事業を通じて(1)異業種間協業(2)利用者個人の求めに応じた情報を配信するパーソナルメディア(3)スピード の3つに挑戦したいと説明。利用者に評価してもらえるかどうかは「使いやすく、役に立ち、心地よいサービスを提供できるかどうか」だと見ており、質の高い情報の提供を目指すとした。
KDDI 取締役執行役員常務の高橋誠氏は、EZニュースEXのポイントは(1)超速報性(2)リッチなコンテンツ(3)快適な操作感(4)ローカルコンテンツも含めたパーソナライズ だと説明。「今後の端末にどんどん載せていくので期待してほしい」と自信を見せた。
2009年夏モデルでEZニュースEXに対応するのは、「T002」「biblio」の2モデル。KDDIでは秋冬モデル以降、対応機種を順次拡大する予定で、今後2〜3年で1000万加入を目指す。
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