誰もが快適に使えるスマートフォンを――「Xperia A SO-04E」で目指したもの:開発陣に聞く「Xperia A SO-04E」(2/2 ページ)
5月17日に発売して累計販売台数64万台を突破したXperia Aのコンセプトは「快適」。デザイン、機構設計などに盛り込んだ「快適」について、開発陣に話を聞いた。
4色のカラーでそれぞれの表現を
Xperia AのカラーはWhite、Black、Pink、Mintの4色で、背面の加工の仕方はそれぞれ異なる。見た目だけでなく触ったときの快適さにこだわり、ソフトでスムーズな質感にしたのは共通だが、「4色あるので、それぞれ異なる表現をしたかった」とデザイン担当のリンダ氏は説明する。
WhiteとBlack、PinkとMintの2グループでそれぞれ加工の仕方が異なる。特にWhiteのマットな質感を実現するのは難しく、「マットな素材は汚れがつきやすいので、今回は汚れが拭き取りやすいトップコートを採用した」(リンダ氏)という。また、色の良さをそのまま表現するため、きらきらと輝く細かなガラスの粒子を散りばめた。リンダ氏は「従来のXperiaシリーズのWhiteにはなかった表現。ただ輝かせるのではなく、落ち着いた自然な色を出すために小さい粒子を使った」と話す。クラシックな色のWhiteとBlackは、Xperiaシリーズの上質さを演出している。
明るくフレッシュな色のPinkは「パンチ力があり、表現力のある強いPinkを使った。自分の持っているものを主張したい人向けで、つやのある鏡面加工を施した」とリンダ氏は説明する。Mintを採用した理由は「オーソドックスなのはBlueのような色だと思うが、4つ並べると意外となじむ。想像しがたい色を入れることでチャレンジしてみたかった」ため。MintはPinkよりやさしい質感になっており、珍しい色ではあるが、幅広く受け入れられる色合いになっている。
側面もそれぞれ異なる色と質感に仕上げ、溝を削った部分にもきっちりと色があり、細かな部分まで作り込んでいる。また、背面のカメラリングの色もカラーごとに異なっている。
「一般的に女性の方が男性より色のあるものを選ぶ傾向があるが、性別で色分けしたくなかった。その人のキャラクターやや趣味嗜好で自分好みのものを選んでほしい」(リンダ氏)
シンプルなものは、よりシンプルに
Xperia Aの筐体には、高強度のガラス繊維強化ナイロン樹脂素材の「コアフレーム構造」を採用している。筐体の前面と背面、フレームを一体化することで、側面の段差や割れ線などをなくすことに成功した。「シンプルなものは、よりシンプルに」(石田氏)というデザインのコンセプトにつながる部分だ。「つなぎ合わせるパーツが減ったことで、防水、防塵性能や部品の強度が向上した」と機構設計担当の中野氏は説明する。防水パッキンが減ったことで防水の安定性が増した。防水性能がIPX5/8等級に向上したことも、このコアフレーム構造と無関係ではないだろう。
Xperia AはXperia Zと異なり、バッテリーが交換できる。厚さはXperia Zのほうが薄いが、その分縦の長さを短くした。「画面部品にカメラを重ねる構造のために厚みは増した分、電池容量が増えた。ただ、持ちやすさは損なわないように削ぎ落とせる部分はなるべく削ぎ落とした」(中野氏)という。
細かなところでは、リアカバーに切りかけがないのも苦心した部分だという。通常リアカバーを外したときには、いわゆる歯抜けの部分があるが、Xperia Aはリアカバー部分すべてがきれいな1周のラインになっている。中野氏が「バッテリー取り外し型のXperiaでここまできれいになったのは初めてかもしれない」と言うように、普段は見えない細部にまで一工夫されている。防水仕様のイヤフォンジャックが上部にある場合、その分の厚みでリアカバーを削る必要があるのだが、Xperia Aではイヤフォンジャックの穴を斜めに配置することで厚みをなくすことができた。
北森氏が「使うたびに発見があり、開拓していく楽しさがある」というように、Xperia Aは“エース”級のユーザー体験を提供する。
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