“LCC”で攻めるウィルコム/「Xperia Z Ultra」の新しい価値/Windows Phone 8の日本発売は?:石野純也のMobile Eye(6月24日〜7月5日)(3/3 ページ)
6月末に開催されたMobile Asia Expoで大きな話題を集めていたいのが、ソニーモバイルの新機種「Xperia Z Ultra」だ。7月4日にはウィルコムの新機種と新料金プランも発表された。これら2つに加え、日本マイクロソフトの経営方針説明会も取り上げる。
「デバイス&サービスカンパニー」を目指すマイクロソフト、Windows Phone 8の発売は?
日本マイクロソフトは2日、新年度(2014年度)の経営方針説明会を開催した。同社の会計年度は7月1日から始まり、説明会はこれに合わせて行われた。ここでは、日本マイクロソフトの代表執行役 社長、樋口泰行氏が「デバイス&サービスカンパニー」を目指す方針を語った。樋口氏は「デバイスは引き続き強化していく」と話し、あわせて社内体制を変えたことも明かした。
「6月までは営業が売っても評価にならないし、経理にも乗ってこない。7月からは、きっちり社内に数字がオープンになるし、営業もコミットメントしてWindowsデバイス(Surface)の責任を負うようになる。1500人が責任を持ってデバイスを売る体制になっている」
6月にはWindows RTを搭載する「Surface」を値下げしたが、これによって量販店チャネルでの販売動向も上向いているようだ。樋口氏によると「先週までの4週間連続、量販店チャネルでiPadの売り上げを凌駕している」という。
サービスの入口としての端末を全世界で強化しているマイクロソフト。自社端末のSurfaceもその一環だ。一方で、海外ではNokiaと提携関係を結び、ラインアップの幅を広げている「Windows Phone 8」は、まだ日本で発売されていない。Windows Phoneという意味では、auの「Windows Phone IS12T」が最初で最後の端末になったままだ。質疑応答でこの点を問われた樋口氏は、「お知らせできる時期になったらお知らせする。ただ、早くお知らせしたいとは思っている」と明言を避けた。IS12Tの登場から、間もなく2年が経とうとしている。ユーザーはもちろん、当の日本マイクロソフトの社員からも次の業務用端末はどうすればいいのかという声が聞こえてくる。
ただ、Windows Phoneを採用するメーカーの状況を見ても、発売できるかどうかは微妙なところだ。Windows Phoneを海外で継続的に投入しつつ、かつ日本市場に足場を持っている主なメーカーは、Samsung電子、HTC、Huaweiの3社。関係者の話を総合すると、Samsung電子はWindows PhoneよりTizenの方が優先度は高く、現時点ではGALAXYシリーズの展開で手一杯だ。Huaweiのスマートフォンはまだまだ日本で知名度が低く、HTCもようやくシェアが上がってきたところ。この2社も、当面はAndroidに注力せざるをえないだろう。日本メーカーも、今、Windows Phoneに経営資源を割く余裕はなさそうだ。
裏を返すと、端末の販売がOEMであるメーカー頼みになっているところに、Windows Phoneの弱みが見えてくる。デバイス&サービスカンパニーの方針は、元々シェアが高くメーカーも多いPCに近い分野のSurfaceよりも、むしろWindows Phoneでこそ意味のある戦略のように思えてならない。
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