ソフトバンクとの経営統合、効果が出ています――イー・モバイルの夏戦略を聞く(2/2 ページ)
ルーターやスマートフォンをソフトバンクモバイルと共同開発するなど、経営統合・ソフトバンクグループ入りをしてから“ソフトバンク色”が強まりつつあるイー・アクセス。この夏は下り最大110Mbpsの「Pocket WiFi(GL09P)」を発売したが、今後はどのような戦略でモバイル市場を攻めていくのだろうか。
EMOBILE LTEの75Mbps対応エリアも拡大していく
ソフトバンクとの経営統合、ソフトバンクグループ入りによってAXGPネットワークを手に入れたイー・アクセスだが、イー・アクセスが従来から展開しているEMOBILE LTEのエリア構築も引き続き行っていく。EMOBILE LTEの人口カーバ率は2013年6月時点で76%だが、2014年3月末に80%を予定している。
あわせて、EMOBILE LTEの下り最大75Mbps対応エリアの拡大も進めていく。現在、イー・アクセスの1.7GHz帯には15MHz(×2)の帯域幅が割り当てられており、このうちの10MHz幅(×2)をLTE用に確保することで、下り最大75Mbpsの通信速度を実現する。5MHz幅のLTEエリアでは下り最大37.5Mbpsに留まっているが、3G用に割り当てていた10MHz幅(×2)を5MHz(×2)に減らすことで対応する(その分、3Gの通信速度は下り最大42Mbpsから21Mbpsに落ちる)。
EMOBILE LTEのうち75Mbps対応エリアが占める割合は開示されていないが、順次拡大していく。75Mbps対応エリアはイー・アクセスのWebサイト(外部リンク)で公開されている。関東は 高萩駅周辺、館山駅周辺、旭駅周辺、舞浜駅周辺、お台場周辺、二宮駅周辺、箱根湯本周辺、湯河原駅周辺などまだ限定的なので、今後の拡大に期待したい。
ソフトバンクグループでどう差別化を図るか
同じソフトバンクグループの中では、ウィルコムが月間1Gバイトまでのパケット通信を2980円(キャンペーンで1980円に)で利用できる「ウィルコムプラン Lite」を提供するなど、低価格路線でイー・アクセスと競合する部分もある。ソフトバンクグループの中で、イー・アクセスはどのように差別化を図っていくのだろうか。筒井氏は「イー・アクセスは“データ通信の会社”として市場から理解されているので、そこの強みは生かしていきたい」と話す。
Pocket WiFi(GL09P)は、その強みを体現したものではあるが、ソフトバンクからも同一製品が発売されており、イー・モバイルの独自性が薄まった感もある。筒井氏は「(イー・アクセスが)独自で製品を出すことで差を作れれば、やっていきますが、(ソフトバンクモバイルと)一緒に作ることでメリットが大きければ、やります(共同開発します)」と話す。イー・モバイルとソフトバンク製品を、今後どう棲み分けていくのかは気になるが、「料金」と「データ通信」の2軸が重要になることは確かだろう。
「イー・アクセスは、今までデータ通信市場を作ってきたという自負がありますが、ソフトバンクと経営統合したことで、独自路線では難しかった一手を踏み出せたのも事実です。そこを最大限に生かして、今まで以上にイー・モバイル色も出しつつ、市場に対して価値を提供したい。オリジナル製品も変わらず出していきたいと考えています」(筒井氏)
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