視認性とスタミナが向上――「ARROWS NX」と「WhiteMagic」の素敵な出会い:開発陣に聞く「ARROWS NX F-01F」(2/2 ページ)
「ARROWS NX F-01F」の「WhiteMagicディスプレイ」では、液晶にホワイト画素を追加し、高輝度化と省電力化を両立したことが特徴だ。実は、5インチフルHD仕様のものはこのF-01Fが世界で初めて採用した。その導入経緯や苦労話を富士通の担当者から聞いた。
屋外での視認性も問題なし
―― WhiteMagicの省電力効果はどんなコンテンツを表示すると得やすいのでしょうか。
尾崎氏 WhiteMagicディスプレイでは、白画素への置き換えをすることで省電力効果を発揮しますので、彩度の高い、原色に近いような画像を表示すると、白画素への変換が効率よく行われません。なので、原色をズバリ使うことが少ない映画やフルセグなどで効果が得やすいでしょう。
―― 画素変換があると、動画再生時に従来の液晶より残像感が出やすそうな気がするのですが、その点は大丈夫なのでしょうか。
尾崎氏 (残像感については)従来の液晶と一緒です。
中島氏 WhiteMagicでの画素変換処理はリアルタイムでやっています。動画でよく使われている60フレーム/秒程度までなら、従来の液晶と遜色なく描画できます。
―― 画質については満足がいくものですが、白画素を追加したことによって、色味が従来機と比べて変わったようにも感じます。この点はいかがですか。
尾崎氏 WhiteMagicディスプレイの色味は、ARROWSの求める色と方向性が完全に一致するものではありませんでした。そこで、弊社の画像処理エンジン「Xevic」を使いWhiteMagicの特性を生かしながら調整することで、ARROWSの画質を表現しています。
中島氏 今後は、モデルごと、あるいは個体ごとに画面の色味の差を極小化できるような取り組みを検討しています。
―― 屋外での視認性ですが、かんかん照りの屋外でも見える程度には確保できている、と考えてよいでしょうか。
尾崎氏 試作段階は、まさしく夏場でした。もちろん、屋外でもはっきり視認できることを確認しています。
中島氏 (直射日光の最高照度である)10万ルクスの環境下でも違和感なく視認できます。手で覆って画面見る、という操作もこれからは必要ありません。
尾崎氏 もう、手で覆って画面見る、という操作も必要ないです。
―― 同時期に出るほかのARROWSでは、WhiteMagicを採用していません。今後は、WhiteMagicを標準化する方針なのでしょうか。
尾崎氏 今回のF-01Fでは、商品コンセプトの1つである電池持ちを実現するために採用しました。今後も、商品コンセプトによってディスプレイを決めていく予定です。
中島氏 実は、当初(ディスプレイの供給元である)ジャパンディスプレイさんでは5インチフルHDのWhiteMagicディスプレイは2014年度量産開始という計画だったのです。今回、省電力と屋外での視認性を高める、ということをどうしても両立したかったので、無理を承知で半年ほど計画を前倒していただきました。
IGZOの採用も検討した
―― 省電力というと、IGZO液晶も選択肢ですよね。検討はしたのでしょうか。
中島氏 実は省電力という観点で、IGZO液晶も検討していました。しかし、電池持ちと屋外での視認性との両立を図るために、今回はWhiteMagicを採用しました。
尾崎氏 弊社では、既にノートPCでIGZO液晶を採用しています。今後、スマートフォンやタブレットでも商品のコンセプトに合わせてIGZO液晶搭載モデルも出てくる可能性もあります。
―― 長い時間、いろいろお話しくださり、ありがとうございました。
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