「出来レースは許されない」「発表会の役割は終わった」――あのとき社長はこう言った(ソフトバンク編):2014年4月〜6月
NTTグループの規制撤廃をめぐる問題や、発表会開催の見送り、人型ロボットの登場などのトピックを中心に、ソフトバンクの2カ月を振り返る。
キャリア3社の中で唯一2014年夏モデルの発表会を行わなかったソフトバンクモバイル。2014年4月〜6月における携帯3社の社長コメントを振り返る本企画の最後を飾るのはソフトバンクの孫正義社長だ。「発表会の役割は終わった」という印象的な発言のほか、NTTグループの規制撤廃をめぐる委員会、人型ロボット「Pepper」の発表までをおさらいしていこう。
NTTドコモおよびKDDI編はこちらの記事を参照。
→・「新料金プランは絶対お得」「夏モデルのおすすめは全機種」――あのとき社長はこう言った(NTTドコモ編)
→・「2014年は価値訴求の年」「HTC“J”新作に乞うご期待」――あのとき社長はこう言った(KDDI編)
「NTTさんの独占回帰になるような出来レースは許されない
4月の大きなトピックは、NTTグループの規制撤廃をめぐり、総務省が4月15日に「情報通信審議会 2020-ICT基盤政策特別部会 基本政策委員会(第4回)」を開催したことだ。
「新聞報道で出来上がったかのような、出来レースのような委員会はガス抜き機関か?」といった過激な発言も飛び出すなど、NTTに対して孫氏やKDDIの田中孝司社長が意見を述べた。
孫氏は「2020年のICT基盤整備の中で、急増するトラフィックに対応するために、固定とモバイルを相互利用しながら解決していく必要がある。NTTさんの独占回帰になるような出来レースは決して許されてはいけない。3年前の(「光の道」構想での)約束を思い出してほしい。喉元過ぎれば熱さを忘れるではなく、独占回帰を許すような出来レースに決してならないように、メディアの皆さんも、心ある総務省の皆さんも、冷静なご判断をいただきたい」と主張し、NTTは国が事実上保有している会社でグループが一体経営されていることも問題視した。
また、KDDIと同じく、今後のモバイルネットワークにおいて固定通信が重要になるという考えも示した。
夏モデルはAndroidスマホ1機種 「発表会の役割は終わった」
2014年夏商戦向けのスマートフォンを見ると、NTTドコモが7機種、auが6機種をラインアップしたのに対し、ソフトバンクが発売したのはシャープ製のAndroidスマホ「AQUOS Xx 304SH」のみ(6月13日時点)。また、ソフトバンクは3キャリアの中で夏モデル発表会を唯一行わなかった。孫社長は5月7日の決算会見で「発表会の役割は終えたのではないか」として、今後も大規模な端末発表会を行わない方針を示した。
「これまでは発表会を年に2回か3回開いていた。数十機種を発表していたころは必要性があったが、現在ではiPhoneと数機種のスマートフォンのみ。その数機種もみなAndroidという状況だ。それを発表会という形でやる意味がどれだけあるのだろうか。iPhoneはAppleが発表会をやっているし、われわれは発表会は役割が変わったのかな、終わったのかなと思っている」(孫氏)。今後、新機種を一斉に披露する発表会を「今後数年か、10年か、状況が変わるまで」(孫氏)見合わせるとした。
ロボットに「最終的には愛を理解させたい」
夏モデルの発表を見送ったソフトバンクだが、6月5日に急きょ発表会を開催した。そこに登場したのは世界で初めて人間の感情を認識するという人型ロボット「Pepper(ペッパー)」だった。まずは日本で2015年2月に本体価格19万8000円(税別)で発売する。「低い値段と高い志で、当面は利益を度外視しても、PCと同じ値段で買えることにも力点を置いた。量産するようになれば、それなりのビジネスとして成り立つのでは」と孫氏は話す。つぶらな瞳とツルンとした頭部が印象的で、来場者に話しかけたりゲストと漫才をしたりと、独特な言動で会場を沸かせていた。
孫氏によると、「近い将来、フリートークも進化させ、感情を認識できるようになれば、自我を持てる」という。孫氏は「愛を持ったロボット」の開発をソフトバンクのビジョンに掲げている。「Pepperが人間と同じようにすべてのことをできるとは思っていない。あくまで第一歩。人間の感情の中で一番難しいのは愛だと思う。喜んでいる、つまらなそうにしているといった感情は理解しやすいが、最終的には愛を理解させたい」と意気込みを語った。
ソフトバンクはドコモに続き、国内通話を定額で利用できるの新「スマ放題」を7月1日からスタートする。金額や条件などはほぼドコモと同じだが、データの通信量を翌月に繰り越せるなどの違いがある。残るauがどう出るかも注目だ。また、ヤフーが「Y! mobile」をイー・アクセスだけでなくソフトバンクモバイルの回線でも展開することを視野に入れているという。
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