ワイモバイルが月額2980円の新料金プランを発表――寺尾洋幸COO「インターネットの楽しさを届けたい」:石川温のスマホ業界新聞(2/2 ページ)
3大キャリアより低価格な新料金プランで差別化を図るワイモバイル。第4のキャリアとしてスタートを切るにあたり、どのような戦略で市場を勝ち抜こうとしているのだろうか。
―― 道半ばというのはどういった点なのか。
寺尾洋幸COO 本当に使いやすくするには、一生懸命、磨き上げなくてはいけない。アプリの使い方やセットアップの仕方とか、Androidベースでやっていますので、セットアップ一つにしても、Google Playなどいろんな設定をしなくてはいけない。もっともっと簡単にできるはずなんですよ。そういうところから始まって、一番、良いアプリが入っているかと言えば、そうではない。
アプリの使い方など、もっと磨き上げたい。一番良いのが、何も知らない人が、端末を手にとって、ぱっと使えるようにしたい。
そうなっているかと言えば、Androidそのものの(仕様)もありますし、いまのスマートフォン、スマートデバイスはそこまでになっていない。
形状がもしかしたら、ああいう形状ではないのかも知れません。
そういった方々に最終的に届けるものは。
いろんな方にとどけるなかで、ひとつの形態がスマホであって、あるいはもっと違う形かも知れません。
これから考えていくんですけど、そういうものを作りたいので、道半ばと申し上げた。
日本中のすべての人が、インターネットの便利さを使おうと思ったときに、入り口は必ずしもスマホだけではないと思っている。そこを準備していきたい。
(★ スマホ以外の面白いものを作るのは、旧ウィルコムの端末開発チームが得意としているところなので、期待しておきたい)
―― 10月にPHSのMNPが始まるが、ワイモバイルにとってチャンスなのか危機なのか。
寺尾洋幸COO 当然、チャンスだと思っています。頑張りたいと思います。MNP戦争に入っていくので、厳しいところもあると思いますけど、スマホの話とはズレますが、ケータイを使っていて、我々(旧ウィルコム)を使いたいと思っていたが、番号が変わるので入れなかった方々も多かったので、そういう意味ではチャンスだと思う。
逆にあの大戦争に巻き込まれるのは、ある意味、リスクではあるが、リスクとオポチュニティのバランスをいま、一生懸命、見極めている。
エリック・ガン社長 070はPHSのイメージがまだ残っている。MNPの場合は、090/080を持ってきて、PHSを利用できるようになる。070のお客さんはポートアウトする可能性があるが、料金が安いのでポートインするお客さんが結構、たくさんいらっしゃるのではないかと。我々はオポチュニティだと思っている。
(★ ブランドが変わったことで、MNPで流出したいというユーザーはいそうだな)
―― 10月までにウィルコムからイーアクセス側にMNPはできるのか。
寺尾洋幸COO いまでもスマートフォンはMNPができる。ただPHSというシステムに対してのMNPは10月まではできない。
―― 8月から店頭がワイモバイルになるが、店内でのPHSやスマホの見え方はどうなるのか。
寺尾洋幸COO ワイモバイルというブランドのなかにスマートフォンだったり、ポケットWi-Fi、PHS、ガラケーですね、といったような展示にしていきたいと思う。いままで通り、PHS、ポケットWi-Fiのお客様にはサービスを提供していきますし、さらにスマホの料金を見せていく。
(★ 端末によって対応している通信技術や周波数が異なるので、気をつけて買わなきゃいけなくなりそう)
―― 収益への影響はどう見ているのか。
エリック・ガン社長 これからもっと伸ばしていきたいんですけど。現状は絶好調です。ワイモバイルを立ち上げる最初の時期は広告宣伝費がたくさん増えると思うが、収益を上がるようにしたい。
(★ 新キャラクターは誰になるのだろうか。Yだけにいまこそ頭文字がYの矢沢永吉だったら良かったのではないだろうか)
―― 低価格戦略が収益を圧迫することはないのか。
寺尾洋幸COO 全体に対して、スマートフォンの占める割合は小さいですので、今回の料金が圧迫するようにはならなくて、むしろ成長するためのオポチュニティになるのではないか。
―― スマホの比率はどれくらいか。
エリック・ガン社長 550万のPHSと450万のイーモバイル。約100万ぐらいはスマホ、現状。これから頑張りたい。マーケットシェアを獲らないといけない。スマホ普及率は50%だが、そのなかでも10〜20%取りたい。社内にはもっと高い目標があるが。
取材を終えて
もともとウィルコムもイー・アクセスもスマホユーザーが少ない。ウィルコムは音声通話がメインだし、イー・アクセスもポケットWi-Fiが大半だ。
多少、スマホで攻めた料金プランを設定しても、収益に大きな影響は与えないし、むしろ、既存のPHS、ポケットWi-Fiユーザーが乗り換えれば、ARPUの上昇につながる。
しかも、これまではどちらも「土管屋」だったことを考えれば、ヤフーと組んで上位レイヤーサービスも提供できるのは大きなメリットと言える。
あとは「レイトマジョリティ」が果たして選んでくれるかどうか。そうした人こそ、「ドコモ」を選ぶだろうし、スマホデビューするなら「iPhone」を選択してもおかしくない。
スマホに乗り遅れた人が「ヤフー」を選んでくれるかが、カギになるだろう。
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