「まだ超絶赤字」だけど「撤退します、以上」はありえない――エックスモバイル木野社長:MVNOに聞く(4/4 ページ)
SIMカードとiPhoneやXperiaをセットで販売して、賛否両論を集めるMVNOサービス「もしもシークス」。このサービスを運営するエックスモバイルの木野社長を直撃し、話を聞いた。
契約者数の動向と、黒字化の見通し
―― ちなみに、今、契約者数はどの程度になりましたか。
木野氏 母数は公開していませんが、純増で大体月に1000ぐらいです。この数字は毎月更新していて、一度も下回ったことはありません。日々数字は上がっていますし、代理店も売り方を覚えてアクティブになると、毎日オーダーが入ってくるようになります。
―― すでに黒字化は果たしているのでしょうか。
木野氏 いえいえ。まだ超絶赤字です。金銭的なプレッシャーはありますが、銀行からの借入れはゼロですし、エンジェル投資家や代理店に入れていただいているお金はあり、それで運営はできています。毎月の黒字転換も、年内には達成できそうです。
―― MVNOは母体が小さいと、ある日突然なくなってしまうという心配もありますが。
木野氏 当社は、ほかのMVNOと違い専業で、ほかに事業がないですし、ユーザー数もそれなりにいます。「撤退します、以上」はありえません。ボードメンバーには、50代で上場会社の経験者もいます。
私も20代ではいろいろと失敗してきて、この10年間、賭けるものが見つからず、いろいろな国に行きました。そこで出会いがあり、点と線がつながった。その前には花屋もやっていて、そこそこうまくいってはいました。ただ、そこそこお金を稼いで、うまい飯を食って死んでいく。そんなのは嫌だなと思いました。どうせなら人類の進化に貢献したい。そう思って、エックスモバイルを始めています。
取材を終えて:“やんちゃ”なMVNOの今後に注目
iPhoneやXperiaの白ロムを扱い始めた背景には、日本人が知らない海外端末を独自に販売したいという木野氏の思いがあった。通信事業者であるMVNOの手法としては少々強引なようにも見えるが、開業したばかりで、ほかに端末の調達手段がなかったのも事実。インタビューを通じて、木野氏の端末に対する並々ならぬこだわりは伝わってきた。
ただ、端末が白ロムであることや、どこから調達しているのかは、もっときちんと伝えていった方がいいように感じた。事実を隠しているわけではないものの、インタビューで答えたような詳細まで分かったほうが買う方も安心できる。
また、今はまだ分かっている人だけが買っている状態だが、規模が大きくなったときのことが少々不安だ。例えば、問い合わせやクレームが、アップルやソニー、ドコモなどに行ってトラブルになるおそれは十分考えられる。木野氏はそのタイミングで独自調達に切り替えると述べていたが、本当にうまく移行できるのかは未知数だ。“やんちゃ”なMVNOの今後の動向にも、引き続き注目しておきたい。
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