10万人アンケートでトラブルの“種”を探し出す――安心・安全に向けたLINEの本気度:既読スルーは本質ではない(2/2 ページ)
LINE利用で起こりがちな青少年のトラブル。自覚を促すワークショップや新しい教材開発、そして大規模アンケートという3つの取り組みから根絶を目指す。
漫画教材や10万人アンケートなどの新たな取り組みも
2つ目の取り組みは、新しい情報リテラシー教材の開発だ。スマートフォンがより低年齢層に広まっていることを意識し、分かりやすさを重視した漫画よる教材を、9月より提供予定であることを公表した。
この漫画教材は、“インターネットの使い方”など従来の学習漫画教材のように、漫画を読んで情報を理解する内容ではない。具体的には、LINEを使ってコミュニケーションする主人公らの仕草やシチュエーションから、ネット上と対面のコミュニケーションの違いを考えてもらうなど、情報を読み解くことに重点を置き、グループディスカッションなどに活用しやすい内容になっている。
そして3つ目は、全国10万人を対象とした、大規模な青少年のネット利用調査の実施である。LINEではこれまでにも、講演の時やヒアリングなどによる調査を実施してきたが、それらの中から「中高生のスマートフォン利用場所はベッドが最多で、トイレの中も無視できない数字」「スマートフォンを持ち始めた中学・高校1年生のタイミングで利用時間が大きく伸びると同時にトラブルに巻き込まれる割合も高くなる」「嫌だなと思うことは、既読無視よりも知らない人からの友達追加や長時間のトークが多い」など、さまざまな傾向が見えてきたという。
そうしたことから、青少年のスマートフォンやインターネットの利用実態を正確に知ることを目的として、大規模な利用実態の調査を実施するに至ったという。どのようなトラブルが起きているかを知り、トラブルの因子を見つけて理解すことが、トラブル撲滅の第1歩になると、江口氏は考えているようだ。
この調査は、いじめが増えやすいとされている夏休み明けから実施される予定とのこと。あくまで青少年のトラブル傾向を正確に把握するための調査であり、個別の地域や学校のトラブルを洗い出すのが目的ではない。
アンケートの集計結果は、全てのデータを完全に匿名化した上で、教育関係者や研究機関、そしてメディアなどに公開することも考えているとのこと。またアンケート結果から実態を把握した後は、シミュレーションや学術的な視点を交えてトラブル発生原因の解明を進め、その因子を見つけ出した上で“青少年のネット利用安全メソッド”の制定も目指す。「トラブルを激減させ、意図せずクリティカルな状況に陥ることを本当になくしたい」と、江口室長は話している。
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