新旧勢力のせめぎ合いで盛り上がった2015年の海外スマートフォン市場:ITmediaスタッフが選ぶ、2015年の“注目端末&トピック”(ライター山根編)(2/2 ページ)
海外メーカーのスマートフォンの日本上陸が相次いだ2015年。だがグローバル市場ではまだまだ日本で知られていない製品も多い。スマートフォン各メーカーの勢力図もこの1年で大きく変わった。新たなメーカーも魅力的なモデルを次々に送り出している。
基本に戻った最高の1台「BlackBerry PRIV」
販売シェアの下落が止まらず、ついに四半期当たりの販売数も100万台を割り込んだ加BlackBerry。ガートナーの調査では、2015年第3四半期のBlackBerry OS搭載端末の販売台数はわずか97万7000台だった。2014年はBlackBerryの顔であるQWERTYキーボード搭載モデルを複数投入するも販売は振るわず、2015年上半期の新製品はタッチパネル型の「BlackBerry Leap」1モデルにとどまった。キーボードがだめならフルタッチで、ということだったのかもしれないが、Leapのスペックはミッドレンジクラス。競合するAndroidの製品は多数あり、その中に埋もれてしまいBlackBerryの救世主とはならなかった。
目玉となる新製品が無ければもはやBlackBerryの将来は無いと思えたが、秋に発表された最新モデル「BlackBerry PRIV」は数年ぶりに大きな話題を集める製品となった。一見すると普通のタッチパネル搭載スマートフォンだが、ギミック心を煽ってくれるスライド式のQWERTYキーボードが隠されている。そして5.5型ワイドQHDの大型高解像度ディスプレイを搭載し、プロセッサはSnapdragon 808、3Gバイトメモリ、1800万画素カメラと、他社のハイエンドモデルに匹敵するスペックとなった。スライドの動きも小気味よく、本体の質感も往年のBlackBerryを思わせる高級感あふれるものだ。なによりOSがAndroidのため、アプリのインストールや動作も制限が全くなくなった。
BlackBerryといえばビジネスパーソンがこぞって使い、スーツからさりげなく取り出しても違和感のない、高級ステーショナリーのようなビジネスツールという位置付けの製品でもあった。Privは久しぶりにそんな思いで使うことのできる製品なのだ。またもはやBlackBerry OSは他スマートフォンOSに対しての優位性はほとんど無くなってしまった。Android OSへの変更は競合他社が多数存在する荒波への航海へ乗り出すようなものだが、PRIVのスペックやギミックはむしろ既存の各メーカーに脅威を与えるほどの素晴らしい出来栄えといえる。
BlackBerryによると、11月6日に発売されたPRIVの約1カ月の販売台数は70万台だった。単純計算すれば四半期で280万台となり、これは悪くない数字だろう。もちろんPRIVだけでBlackBerryの復活と言うにはまだ早く、今後の他のモデル展開も気になるところだ。しかしBlackBrryの強みを全て盛り込み、そして最強の1台を作り上げる力がまだ同社には残っていることをPRIVは証明した。2016年も、年末のまとめ記事でベスト3に入るような製品をぜひ送り出して欲しいものだ。
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