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無料配信とも読み放題とも違う――自分だけのジャンプを作れる「Myジャンプ」の狙い集英社に聞く(2/3 ページ)

『週刊少年ジャンプ』で掲載された作品を、ユーザーが自由に選んで毎週配信できる「Myジャンプ」。自分だけの“ジャンプ”を作れのが特徴だが、どのような狙いで開発されたのか。どんなユーザーをターゲットにしているのか。

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メインターゲットは20代後半〜40代男性

―― Myジャンプで想定しているユーザー層や年代を教えてください。

森氏 ずばり、20代後半〜40代男性です。大人になってジャンプを離れてしまった方もいらっしゃるでしょうし、電子書店では30代ぐらいの方々がメインユーザーなので、そこを狙っていきたいです。その世代に響くよう、鳥山先生にマスコットキャラクターを描いていただきました。

MyジャンプMyジャンプ 鳥山明氏が描き下ろしたキャラクター。左がアシスタントの「マイ」、右がMyジャンプを発行する「ホンボット」

―― それもすごい。アプリ向けにイラストを描いていただけるのは珍しいですよね。あらためて、鳥山先生にお願いをした経緯を教えてください。

森氏 30〜40代男性なら「ドラゴンボール」や「Dr.スランプ」を愛読している方が多いだろうと。“ジャンプの顔”として誰もが異論を挟まない作家さんということで、ダメ元で鳥山先生にお願いをしたら、ご快諾いただけました。

―― メインのキャラクターが女の子ですね。

森氏 このアプリがそもそも分かりづらいというのは僕らも思っていて、実際にお客さまからも指摘があります。日頃の使い方をサポートしてくれるキャラクターは絶対必要だねと。Myジャンプでは作品との出会いを演出したいので、機械的におすすめされるよりも、キャラクターを通しておすすめしてくれる方が親近感が湧きます。

 先ほど男性を狙うと言いましたが、男の編集部員が付いてもうれしくないけど(笑)、かわいい秘書の子がマスコット的にいたらいいなと。女性にも好感を持ってもらえるよう、秘書だけど元気な女の子にしていただけました。鳥山先生いわく「スーパーアシスタント」です。

―― ホンボットも鳥山先生らしいロボットのキャラクターですね。

森氏 デジタル雑誌は実際には印刷されないけれど、毎回表紙をカスタマイズして届けるので、印刷する過程を疑似的に再現したいと思っていました。印刷するプリンターも含めて、ちょっとポンコツ感があるけど親しみのあるロボットをお願いしました。

ジャンプの作品は全て配信したい

―― リリース当初は約230作品が配信されていますが、今後はどれぐらいのペースで作品を増やしていくのでしょうか。メジャーな作品では「北斗の拳」「シティーハンター」「聖闘士星矢」などはまだ配信されていません。

森氏 皆さんが本当によくご存じのメジャーな作品も含めて、実は数10作品ほどは既に許諾をいただいています。月10〜20は増やしていけるペースですね。

 この企画では、ジャンプの全作品を配信したいと思っていますし、30〜40年前の作品もそろえたい。権利は作家さんにあるので、1つ1つ説明をして許諾をもらえるよう働きかけています。何百人という作家さんがいらっしゃるので、全ての方々にはまだご説明に上がれていないのですが、まずは2000年以降の作品を中心に許諾をいただいています。今回の企画を機に、60作品ほどがデジタル化されました。

―― 10週で終わってしまったような作品も配信されるのでしょうか。

森氏 ジャンプに載るということは、すごい作品なので、どんな作品でも載せていきたいですね。ジャンプの作品は全て打診させていただきたいと思っています。

―― 新しい作品が配信されたら、アプリ上で何らか告知はされるのでしょうか。

森氏 していこうと思います。何の作品が配信されているのかが分かりづらいという声はいただいていて、どういう場で紹介するかは検討しています。

友達から面白いと言われた方が興味を持てる

―― 他のユーザーが公開したジャンプのラインアップを見て、購入できるのも、アプリならではの取り組みですね。

森氏 マス広告は有効な施策ですけど、けっこうお金はかかります。一方で、ネットはソーシャルの広がりが強く、友達(他の読者)から「この作品面白いよ」と言われる方が興味を持ってもらえます。

 世界で1冊のジャンプを発行できる「MyジャンプBEST」を作るのは、相当面倒なんですよ。作品を選んで、さらに何百話から話を選んで、それを10または20作品分繰り返すので。でも、アプリのリリースから数時間でドカドカドカッと作られて。僕らからすると、よく作れたなと(笑)。正直、1週間で数冊ぐらいかなと思っていたんですけど、想定以上に作られました。

―― MyジャンプBESTのランキング上位を見ると、「乳首券発行済み作品」がしばらくトップをキープしています(笑)。

森氏 (笑)題名は過激なんですけど、実際に読んでみるとけっこう面白いんですよ。ああ、なるほどな〜と。

MyジャンプMyジャンプ 他のユーザーが公開したMyジャンプ。10作品250円(税込)、20作品400円(税込)で購入できる(写真=左)。閲覧数の多いランキング。やはり(?)お色気系の作品を集めたものが上位に来ている(写真=右)

―― ランキングはどういう基準で決まるのでしょうか。

森氏 読んでいただいた数ですね。(ランキングの)ロジックは調整しているので、はっきりとは申し上げられないのですが。電子書籍では巻数が多いものがランキング上位に来ますけど、ここでは巻数が少ない作品もランクインしていて、1つの手応えを感じています。

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