買い取ってもらった中古携帯、個人情報はどうなる?:中古携帯の動向を追う(1/2 ページ)
「個人情報が心配だから」という理由で、以前の携帯電話を買い取りに出さない人がいます。特にスマホには、より多くの個人情報が保存されているため、なおさら警戒する人が多いといえます。中古業者は、個人情報に対してどのように取り組んでいるのでしょうか。
スマートフォンは個人情報のかたまり
MMD研究所が4月27日に発表した「2017年中古端末に関する購買動向調査」の結果によると、以前利用していた携帯電話・スマートフォン(スマホ)の処分は、「そのまま持っている」と答えた人が55.0%で最も多く、「キャリアの下取りプランに出した」人が25.8%、「中古買い取り店に買い取ってもらった」人が3.9%となっています。2016年対比だと下取りが8.9%増加しており、下取りが浸透し始めているのが分かります。
一方、そのまま持っている55.0%のユーザーに理由(複数回答)を聞いたところ、約4割の36.9%が、「個人情報が心配で手放せない」ということでした。
この背景にあると推測されるのが、個人情報保護への意識が格段に上がったことと、スマホ内に入っている個人情報がフィーチャーフォン(ガラケー)よりも量質ともに増えていることです。
ガラケー内の個人情報といえば、
- アドレス帳
- SMSメール送受信履歴
- 写真画像
- メモ帳
だったのに対し、スマホには、
- アドレス帳
- メールアドレス
- SMSメール送受信履歴
- MMSメール送受信履歴(キャリアメール)
- LINEやインスタグラム、FacebookなどのSNS情報
- 写真画像
- メモ帳
- インターネット閲覧履歴
- FeliCaデータ
- 各種サイトのIDやパスワード
など、多くの非常に重要な個人情報データが入っています。また、スマートフォンをリセットしても、専用ツールで復元できてしまうので、リセットだけでは情報漏えい対策は不十分といえます。アドレス帳やメールアドレス、写真が情報漏えいするだけでも怖いですが、さらに怖いのが下記の写真です。
SNSや写真画像にはGPS機能が搭載されているため、よく行く場所や駅などの行動がばれてしまう可能性があります。
国産のスマホデータ消去ソフト「Braver Erasure」を設計開発している企業に確認したところ、これらのデータからスマホ所有者の住んでいる場所、勤めている会社や誕生日、家族や友人関係など分かる可能性があるとのことでした。万が一これらのデータが漏えいすると……考えるだけで背筋がぞっとしますね。
これらの個人情報をうまく処理する方法はないのでしょうか?
携帯電話の個人情報を消去する方法
携帯電話内の個人情報データを消去する方法は2つあります。1つ目が、「データ上書き」です。記憶媒体の記憶領域に対して無意味なデータを上書きします(iOSやAndroid OSなどのOS領域には書き込みされません)。
2つ目が「データ物理破壊」です。個人情報データが格納されている電子基板を液晶ごと破壊します。
両社をユーザー視点でまとめてみました。
- データ上書き
- データ漏えいリスク
- 少ない。ソフトウェアでのデータ上書きとなるため、ソフトウェアによっては、ソースのバグ等により正常に上書き消去できない可能性あり
- 買い取り価格
- 再販できるため、高い値段で業者へ売却できる
- データ漏えいリスク
- データ物理破壊
- データ漏えいリスク
- ほぼなし。データが格納されているメインメモリやストレージ、フラッシュなどを確実に破壊されていれば問題なし
- 買い取り価格
- 部品としての買い取りになるため1台100円前後に
- データ漏えいリスク
ここで、スマホ以上に個人情報が搭載されているPCと比較してみましょう。
スマホ | PC | |
---|---|---|
データ上書き | ○ | ○ |
データ物理破壊 | 破砕 | 磁気 破砕 |
PCの場合には、磁気力でHDDを破壊しますが、スマホにはありません。
スマートフォンの場合、高く買い取ってもらう点では、データの上書きの方が得策ですが、実際に上書き消去されているのか分からないので不安という方もいるでしょう。不安な方は、データ消去証明書を発行してもらってください。業者によっては発行しています。
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