子どもとシニアでナンバー1を目指すトーンモバイル 石田社長「iPhoneの市場も狙う」:MVNOに聞く(3/3 ページ)
トーンモバイルが展開するMVNOサービス「TONE」は現在、子どもとシニア世代にターゲットを絞っている。直近では雑誌「VERY」と共同開発したスマートフォン「TONE m17」も発売した。そんな同社の戦略について、石田宏樹社長に話を聞いた。
freebit mobile時代とは契約数の伸びは全然違う
―― 今後の展開として、iPhoneを狙うというお話がありましたが、そのときもこの料金を継続するのでしょうか。
石田氏 オプションのような形は増えるかもしれません。料金を2つ作ってしまうとシンプルさが失われてしまうので。ベースがあり、そこに加えるという感じですね。
―― 現状、契約数などはいかがでしょうか。
石田氏 契約数は公開していません。
―― ざっくりとした手応えはいかがですか。freebit mobile時代と比べて、数も増えていると思います。
石田氏 それは全然違います。今は店舗もありますし、増えているぶん、そこは上がってきます。ただ、店舗はもっと増やさなければいけないと考えています。
―― TSUTAYA以外に広げていく可能性もあるのでしょうか。
石田氏 前から言っていたことですが、まずはTSUTAYをやり、次にTアライアンスの店舗をやっていこうと考えていました。その可能性はあると思います。
子どもが監視されすぎていると感じないか?
―― 今回、VERYと共同開発をしていかがでしたか。感触を教えてください。
石田氏 一言で言って、勉強になりました。VERYさんがすごかったのは、親と子ども両方の視点を持ってきたことです。親だけでなく、子どもも喜んで使うものでなければいけない。そこは、かなり要求をもらっています。結果として、子どもが喜ぶもの、誇れるものがサービスとして出てきているので、これは長いプロジェクトになりそうです。
―― 具体的なサービスとして出てきたのは、先ほどあった端末以外だと、「親子の約束」などでしょうか。
石田氏 それは、買ってもらうための第一歩ですね。VERYさんの読者には、安易に子どもに買い与えて、時間をつぶさせるような人があまりいません。そういう方に第一歩を踏み出してもらうための取り組みが、親子の約束です。親子でコンセンサスを取るというところに、こういう仕組みがあります。
―― ジオロックもそうでしょうか。
石田氏 はい。VERYさんとのディスカッションでできたものです。僕らが作ると設定が細かすぎるので、プリファレンス(優先)が欲しいと言われました。今だとスマホを持っていくと先生に預けなければいけない学校もありますが、であればロックをかけてしまいましょうという話になりました。
―― 一方で、子どもに監視されすぎている印象を与えることはないのでしょうか。
石田氏 今回は、子どもの端末を触る必要がないというのが大きなポイントです。親が子どものスマホを管理しようとすると、子どもの端末を触ってLINEを見たりしますが、これはあくまで子どものものというベースがあります。親はアプリを使って遠隔で状況を把握できますが、GPSでの監視をする、しないは設定で変更でき、監視されていることは子どもにも分かります。その辺は親との話し合いで決めてほしいというのがコンセプトです。
―― 子ども以外を狙っていく際には、VERYとは別のコラボレーションがあるのでしょうか。
石田氏 コラボは必ず狙っていきたいと思っていて、シニアでは青柳先生との取り組みがあります。スマホはセンサーの集合体でもあるので、それで健康になってもらいたいというのがベースにありました。また、発表会のときにも思いつたように言っていましたが、VERYの親という対象設定もあり、そこはやっていきたいなと思っています。
取材を終えて:シニア市場をどう攻めていくか
トーンモバイルがターゲットを絞って端末、サービスを展開している戦略は、MVNOがひしめき合う今の市場を考えると、理にかなっているように感じた。ターゲットを考えると、富士通に端末製造を任せたのも正解だ。さまざまな技術を使いながら、それを感じさせず、幅広いユーザーが使いこなせるようにしたいという思いにも共感できる。
一方で、少子化の中で子どもだけをターゲットにするのは限界がある。シニアについては、大手キャリアが子ども向け以上に手厚いサービスを展開しているため、プラスαの要素が必要だと感じた。この点については、9月に発表されるという新サービスに期待したい。また、子ども、シニア以外をどのような手で攻めてくるのかも、注目しておきたい。激戦区の市場ゆえに、TONEの腕の見せどころといえるだろう。
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