ユーザーの声に応えて進化――商品企画担当者が語る「Galaxy Note8」(3/3 ページ)
先代で発生したバッテリー問題を乗り越えて、実質2年ぶりに登場したGalaxy Noteの新モデル。その魅力をSamsung Electronicsの担当者が語った。
デュアルカメラの“強み”とインカメラの“足踏み”
―― デュアルカメラの採用で、スマホカメラのトレンドにキャッチアップした感がある。他社のデュアルカメラと比べて、どこに優位性があると考えているか。
ソ氏 Note8では、2つのカメラで深度を把握できるので、背景とオブジェクトを分離してよりきれいな写真が撮れることと、ズーム撮影がきれいになることの2点にフォーカスを当てている。
広角(通常)側にはF1.7の明るいレンズを使っているので、暗くてもきれいな写真が撮影できる。望遠側にも光学手ブレ補正機構を導入しているので、ブレの少ない写真が撮れる。そしてライブフォーカスを使ってボカシの調整もできるので、より深みのある写真を撮影できる。
―― ここでデュアルカメラの採用を決意した理由は。
ソ氏 Galaxy S7では、「明るいレンズ」「デュアルピクセルセンサー」というアプローチを使ってカメラの画質を大幅に改善してきた。
今回は「人物がより目立つ写真を撮りたい」というニーズに応えるべく、デュアルカメラを採用することにした。
―― インカメラについては、あまり変わっていない(性能に進化がない)ように見える。次世代モデルのために進化を「控えた」のか。
ソ氏 Note8では、デュアルカメラを使った画質改善に注力した。
インカメラの改善は検討したが、今回はS8/S8+と同様にライブステッカー機能の追加を行うことにした。
Samsung DeXの日本上陸は?
―― Samsung DeXについて、何か新しいことをしているか。
ソ氏 Note8では、DeXモードにおけるソフトウェアの最適化をより進めている。最適化が進んだことで、ある会議アプリではDeXモードと通常モードの間でシームレスに会議を継続できるようになった。
―― Galaxy S8/S8+と機能面における差分はないのか。
ソ氏 現時点ではないが、今後は検討していくことになると思う。
―― そもそもDeXを使うために必要な「DeX Station」は販売地域が限定されている。日本は現時点では“対象外”だが、販売の検討はしていないのか。
担当者 さまざまな角度から検討はしている。(Galaxy S8/S8+の時点における)調査の結果、単に他の国よりニーズがなかったために発売を見送った。
ただ、現在日本国内で行っている「Galaxy Studio」では試験的にDeX体験コーナーを設けてみて、アピールしつつニーズを探ってみている。その上で、販売を検討したいとは思っている。
生体認証は「虹彩」がベストと考える
―― Galaxyシリーズにおける指紋認証センサーの位置付けはどうなっているのか。S8/S8+で正面の一等地(ホームキー)から背面に回ってしまったが……。
ソ氏 Note8では、S8/S8+と比較して、(同じ背面ではあるが)カメラやLEDライトと合わせて位置や間隔を調整して使い勝手を改善できたと考えている。
ただ、(今の位置だと)不便であるという意見もあるので、さらなる位置の調整、あるいはディスプレイ面での指紋認証といった技術的イノベーションなど、改善の努力は絶え間なく続けていく。
―― iPhone Xでは顔認証(Face ID)を採用した。この認証では顔のパターンを記憶するなど、複合的にセキュリティを担保しようとしている。その他の生体認証も含めて、御社としてはどのようなアプローチを取ろうと考えているか。
ソ氏 弊社では「Samsung Knox」という独自のセキュリティソリューションを持っている。これにより複合的なセキュリティレイヤーとして情報を保護している。
複合的な認証方法については、検討を進めていく。
―― Appleは(複合的な)顔認証の方が虹彩認証よりもセキュアと言っている。御社の場合はそのまま虹彩認証を使い続けるのか。
担当者 そもそも、AppleがiPhone Xで採用した顔認証技術と、弊社が顔認証として使っている技術は方法や用途が異なっている。弊社の顔認証は利便性を重視しており、よりセキュアな認証を求める人には虹彩認証や指紋認証をおすすめしている。
それぞれの会社は、それぞれの考えに基づいてよりセキュアな認証方法を考えて、さまざまな進化を遂げていくのだと思う。
―― 御社としての(生体認証の)推奨順はあるのですか。
ソ氏 虹彩認証が(他人受入率の面で)一番で、指紋認証、顔認証と続く。前二者は、金融機関やデータセンターなどでも使われていて、実績もある。
Galaxy Note8は、現時点でのSamsungの“本気”を全て詰め込んだスマホだ。1年前のバッテリー問題を乗り越えて、同社のお膝元である韓国はもちろん、既に発売済みの国・地域では好調な滑り出しを見せているという。
筆者が以前に取材したMVNOサービスを利用する女性へのグループインタビューでは「GALAXY Note II SC-02E」から「GALAXY Note II SC-02E」、つまり同じ機種にわざわざ買い換えた人もいたが、その理由の1つが「ペンと大画面」だった。この女性と同様に、日本にも熱心なGalaxy Noteファンは確実に存在する。
日本でのGalaxy Note8発売を祈りつつ、この記事を締めたいと思う。
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