薄利のMVNO事業で、なぜ「エックスモバイル」は生き残れたのか:MVNOに聞く(3/3 ページ)
MVNO業界の慣習にとらわれない“やんちゃぶり”で話題となったエックスモバイル。サービス開始当初は「超絶赤字」だったそうだが、ついに債務超過をクリア。淘汰(とうた)が進むMVNOで、なぜエックスモバイルは生き残れたのか。木野社長に聞いた。
自分のスマホが格安スマホになることを知らない人が多い
―― エックスモバイルは端末にも特色がありましたが、ここはどうしていかれるつもりですか。
木野氏 売っています。が、ほとんど利益がないですね。これは、うちにとっても代理店にとってもで、本音を言えば、あまりやりたくない。代理店にとっては、中古を売った方がもうかるぐらいです。ただ、最近はSIMだけが多いですね。10人中、7人がSIMカードです。
マジョリティー層は、自分のスマホがSIMカードを替えるだけで格安スマホになることをほとんど知りません。われわれの中では常識かもしれませんが、地方に行って話をすると、ほとんど知られていない。それだけで、「私のスマホがそのまま使える!」と感動されます。
―― サービス面では、何かやっていきたいことはありますか。
木野氏 スゴいシリーズですね。今、エイビットさんと新しいものを考えています。今までとは違う切り口の見守りサービスをやっていきたいですね。認知症の方が数百万人いて、独居老人と呼ばれる方々も増えています。(代理店と会いに)どの地域に行っても、僕の親世代の悩みになっています。
そういった方々に向け、電話だけでなく、あるアクション――例えば、ドアを開けたときに息子さんにその情報を送るといった見守りサービスをやっていきたいですね。今はひたすら回線数を増やしているところですが、将来的には、IoTや見守りサービスなどを地域の皆さんに販売していきたい。エックスモバイルの店舗が、その拠点になれるのが理想です。
―― ブランド名を社名のエックスモバイルに変更するとうかがいました。これはなぜでしょうか。
木野氏 いろいろと理由はありますが、一言でいうと、エックスモバイルという名前が好きで、代理店の方々も気に入っているからです。その理由が99%ですね。あと1%は、「もしもシークスというのがよく分からない」というのがあります。確かに、もしもシークスといわれても、何屋なのかよく分からないですよね(笑)。コールセンターだと思われてしまったこともありました。1秒でケータイショップと分かるようにしたい。その意見は、代理店の皆さんにも賛同していただけました。
取材を終えて:初期に比べて地に足がついてきた
10月10日に創業4周年を迎えたエックスモバイル。開業当初は資金繰りも綱渡りで、MVNEや料金プランも頻繁に変わるなど、危うい雰囲気があったことは否めないが、そのときと比べ、かなり地に足がついてきた様子がうかがえた。
当初から掲げていた独自店舗拡大の方針も、MVNOのユーザーがマジョリティー層に変わりつつある現状とマッチしている。一方で、サブブランドまで含めた競争は激化している。現状では一通りのサービスがそろったMVNOになっているが、逆にエックスモバイル色が薄いようにも感じられる。今後、シェアを拡大していくのであれば、店舗以外でも、エックスモバイルならではの特色を、もっと強く打ち出していく必要がありそうだ。
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