ソフトバンクの「ギガモンスター+」はどれだけお得? 業界への影響は?:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
ソフトバンクが新料金プラン「ギガモンスター+」を提供開始。月に50GBのデータ通信を利用でき、一部サービスの通信量がカウントされない。一方で「月月割」が付かない分離プランとなっている。新プランの狙いと業界に与えるインパクをと解説する。
サブブランドがあったからこそできた料金プラン
ここまであまり言及してこなかったが、ソフトバンクの新料金プランにはもう1つ、ミニモンスターと呼ばれる段階制の料金プランが存在する。こちらはデータ使用量が1GB、2GB、5GBを超えるごとに料金が上がり、ウルトラギガモンスター+と同じ50GBで通信速度に制限がかかる仕組みだ。auピタットプランに近い料金で、「月ごとの(データ容量の)変動を、ある程度カバーできるプラン」(郷司氏)という位置付けだ。
ミニモンスターの前身は、キャンペーンとして展開されていたおてがるプランだ。おてがるプランは3GBまでと容量が少なかったが、ミニモンスターと同じ段階制で、しかも月月割が付かない分離プランだった。一方で、「端末を一部に限定していたが、ミニモンスターでは全機種に広げた」(郷司氏)という違いもある。「ミニモンスターとウルトラギガモンスター+で、同じ家族割の傘に入れる」(同)のも、大きな差といえる。
ただし、ミニモンスターは2GBを超えると料金がウルトラギガモンスター+と同じ7480円になる。使えるデータ量の差を考えると、ウルトラギガモンスター+のお得感が際立つ。逆にいえば、2GBを超える月が多いユーザーが、あえてミニモンスターを選ぶ理由はない。2GBまではウルトラギガモンスター+より安価なため、位置付け的には、容量の小さかったおてがるプランと同じ、あまり利用しないユーザーのためのものだ。
一方で、ソフトバンクは自身でサブブランドのY!mobileを展開している他、傘下にMVNOのLINEモバイルも擁する。利用が少ないユーザーや、50GBまではいらないがそれなりに使うユーザーにとっては、ソフトバンクを選ぶより、Y!mobileやLINEモバイルを使った方が料金は安くなる。その意味で、新料金プランは、今まで以上にソフトバンクと他のサブブランドの差別化を明確にしたといえそうだ。
実際、郷司氏も「LINEさんが入って3ブランドになったが、ある程度(サブブランドの料金体系も)意識しながら、プランニングを行った」と明かす。新料金プランは、ミニモンスターとウルトラギガモンスター+の2本立てになったが、ここまで思い切った絞り込みは、サブブランドの存在なくして実現できなかっただろう。ブランドを分けることで、他社よりも料金をシンプルに見せられたというわけだ。
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