メルカリの決済サービス「メルペイ」は何が強み? いつ出る?
メルカリは子会社を通して決済サービス「メルペイ」の準備を進めている……のだが、詳細なサービス内容が未だに発表されていない。競合がひしめくモバイル決済において、メルペイの強みはどこにあるのか。そして、いつサービスが始まるのだろうか。
スマートフォンやPCを使ったフリーマーケットを運営する「メルカリ(Mercari)」。その新たな成長ドライバーとして、同社が注力しているのが、子会社を通して準備を進めている決済サービス「メルペイ(Merpay)」だ。
- →メルカリ、金融関連の新会社「メルペイ」設立 元グリー青柳直樹氏が代表に
- →メルカリが決済サービスに本腰 フリマ販売収入を実店舗でも利用可能に
- →メルカリ子会社のメルペイ、新会社「メルペイコネクト」設立 サービス提供開始に向け加盟店拡大
サービスとしてのメルペイは何が強みなのだろうか。そして、いつ出るのだろうか。
最大の強みはメルカリの「売上金」
メルカリは、メルペイを「メルカリエコシステム」の中心に据えようとしている。
メルペイでは、メルカリID(アカウント)とひも付いた「メルペイウォレット」というバーチャルウォレットを利用する。入金はメルカリからの売上金や銀行口座からの振り込みなどで行うことを想定。出金はメルカリでの商品購入はもちろん、メルチャリ(Merchari)の利用代金、現金出金やメルペイ加盟店での実店舗決済にも対応する。
……と、内容だけ見ると、既存の決済サービスとあまり差別化できていないように見える。2月7日に行われた第2四半期決算会見(※)で、メルカリの小泉文明社長に考えを改めて聞いた。
※ メルカリの決算期は7月1日から翌年6月30日まで
筆者 最近「ペイ(Pay)」の付くサービスが非常に増えていて、競合もたくさんいます。メルペイは実店舗決済にも対応するそうですが、加盟店開拓は始めているのでしょうか。それとも、別のコード決済サービスを展開している事業者と組んで利用店舗を広げていくのでしょうか。
小泉社長 加盟店については私たちが開拓していくという面もあるかと思います。
(エコシステムの図を示しつつ)よく「利用・出金」の面で「競合が、競合が(多い)」と言われることも多いですが、私たちの強みは「入金」にあると思います。他社さんだと、入金(手段)に「売上金」がありません。例えるなら、給料をもらったときにユーザーがクレジットカードで払うのか、現金で払うのか、モバイルペイメントで払うのか割り振る作業(が入金)だと思っているのですが、私たちは毎月数百億円、この四半期では400億円以上のお金をユーザーのお財布(アカウント)に入れています。
当然このお金はメルカリの中で使われるケースも多いのですが、銀行口座に引き出す人も多いという状況です。これ(売上金)をいろいろなお店で使っていただくことで、モバイルペイメントを習慣化して、私たちとしてのサービスを成り立たせていきたいと考えています。
このように、メルペイはメルカリの売上金をそのまま決済に回せることを強みとして訴求していく方向のようだ。
サービス開始に慎重姿勢 この決算期の開始は困難か
問題は、メルペイがいつ使えるようになるかだ。
先述の決算会見ではメルペイのサービスインに関する見通しは示されず、「関心が高いとことだと思うが、足元(サービスの基本部分)を鋭意開発中」(小泉社長)とされた。
国内メルカリ事業を加速する“ドライバー”として、エコシステムの中核を担うことになるメルペイ。やはりいつサービス開始するのか気になる。この点についても、小泉社長に直接話を聞いた。
筆者 今回の決算説明会では、メルペイについて詳しい話がありませんでした。この決算期中にサービスを発表、あるいは開始できる見込みは立っているのでしょうか。
小泉社長 私たちもローンチ(サービス開始)をいたずらに伸ばす必要はないと思っていますが、ネットサービスのように「とりあえず出してみて、バグがあったら修正して直そう」ということでは、金融サービス事業者としての責任を果たせないとも考えています。
これ(メルペイのサービス)についてはシステムの安定性や社内体制などを慎重に、きっちりと準備した上で出したいと思っています。もうしばらくお待ちいただければと思います。
当然、ローンチ後は戦略などもろもろをしっかりと説明していきます。
以前の決算説明会では「今期中(2019年6月末まで)」と言っていたのと比べると若干トーンダウンしている。早期のサービス開始よりも安定した運営体制の構築を優先しているようだ。恐らく、他の決済サービスにおける各種トラブルを踏まえた対応だと思われる。
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