Googleサービスを使えないHuaweiが選択した“プランB” スマホ事業の勝算は?:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
米国商務省の「エンティティリスト」に登録され、同国の企業との取引に大きな制約が生じているHuawei。新たに発売される端末には、Androidを搭載できない状況が続いている。制裁が長期化したときの切札として、同社が着々と準備を進めているのが、「HMS(Huawei Mobile Service)」だ。
“プランB”としてスタートした「HMS」の勝算は?
このままGMSを含んだAndroidが使えなくなったときのことを想定し、Huaweiが推し進めているのが、GMSの代替となる「HMS(Huawei Mobile Service)」である。AOSPは「オープンソースのプログラムで、政府が何らかの制限をかけられるものではなく、どのメーカーでも使うことができる」(呉氏)。
「AOSP+GMS」がAndroidならば、「AOSP+HMS」はいわば“Huawei版Android”といったところ。そのエコシステムを強化していけば、Androidなしでも十分に戦っていけるというのがHuaweiの見立てだ。呉氏は、「仮にAndroidを使えないように(米国が)制限をかけるのであれば、弊社にも独自OSを出す能力はあり、HMSを搭載して製品を出していくことになる」と語る。
とはいえ、エコシステムは一朝一夕では築けない。AndroidのPlayストアにも、前身のAndroid Marketのころから約11年間の積み重ねてきた実績がある。すぐにGoogleのAndroidに対抗できるという見方は、現実的とはいえない。ただ、ベースが同じAOSPであれば、アプリの開発者はGMSのAndroidから、アプリを移植しやすいかもしれない。他にも、Huaweiにとって追い風はある。
1つが、グローバルでの販売台数の多さだ。ご存じの通り、Huaweiは世界第2位のスマートフォンメーカーである。2019年の販売台数は10月時点で2億台を超えており、その規模は、トップシェアのサムスン電子に迫ろうとしている。ラインアップがハイエンド中心で、エコシステムがAndroid以上に強固だという違いはあるものの、シェア3位のAppleが、1社でiOSやApp Storeを維持できていることを考えると、HuaweiがHMSで独自のエコシステムを構築するのも不可能ではないはずだ。
実際、その規模を生かし、「数百万のダウンロードを獲得したアプリもある」(同)という。呉氏によると、配車アプリ「Grab」は登録から3カ月で300万ダウンロードを突破、ゲームアプリの「Nitro Nation」も、わずか2カ月で126万ダウンロードを超えているという。AndroidやiOSに比べれば規模はまだまだ小さいが、出だしとしては順調といえる。展開国が広く、欧州やアジアのユーザーにリーチできるのも、アプリ開発者にとっては魅力になる。
このエコシステムを強化すべく、Huaweiは10億ドル(約1100億円)を投資し、HMSの開発をサポートしていく。もちろん、日本もその対象だ。12月にはHuawei本社から幹部が来日し、開発者大会を開催する。呉氏は「日本人の開発者に対し、日本語でフルサポートを提供する」と約束しつつ、「ぜひ仲間になっていただきたい」とHMSへの参加を呼びかけた。
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