5Gのエリア拡大とともに広がるミッドレンジスマホ ソフトバンクとauの戦略を解説:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
5Gのエリアが広がるとともに、端末のバリエーションも広がり始めている。当初はフラグシップモデルが中心だったが、2020年の秋冬ごろから徐々に5万円を下回るエントリーモデルが増えてきた。ソフトバンクとKDDIが、春商戦向けの安価な5Gスマートフォンを発表。両社の戦略を中心に解説する。
サムスンやOPPOのエントリーモデルで対抗するKDDI
コストパフォーマンスに優れた端末を拡充していく動きは、ソフトバンクの専売特許ではない。KDDIも、5Gの裾野を広げるため、価格を抑えたエントリーモデル2機種を投入する。発売済みのシャープ製スマートフォン「AQUOS sense5G」と合わせ、全3機種にバリエーションを広げる構えだ。KDDIのパーソナル事業本部コンシューマ事業企画本部のプロダクト企画部長、木下祐介氏は「3つとも手に取っていただきやすい価格レンジの端末。本気で5Gを浸透させていきたい」と意気込みを語る。
KDDIが導入するのは、サムスン電子製の「Galaxy A32 5G」と、OPPO製の「OPPO A54 5G」。Galaxy A32 5Gは税込み価格で3万1190円、OPPO A54 5Gは発売が4月以降になるため、金額の詳細は決まっていないが、より安価な価格で提供されることになるという。Xiaomiの「Mi 10 Lite 5G」を9月に発売するなど、いち早くエントリーモデルに取り組んできたKDDIだが、「“みんなの5G”をうたっていることもあり、できるだけ広範囲をカバーできるものを取りそろえてきた」(同)という。
Galaxy A32 5Gは、プロセッサにMediaTekの「Dimensity 720」を採用。おサイフケータイやIPX8/IP6Xの防水・防塵(じん)に対応しているなど、低価格ながら、日本市場に必要な機能を網羅したモデルだ。背面にはトリプルカメラを搭載し、メインの広角カメラは4800万画素。500万画素のマクロカメラや800万画素の超広角カメラも備える。これらとは別に、200万画素の深度測定用カメラを備え、被写体の背景をボカした撮影が可能だ。5000mAhの大容量バッテリーを搭載しているのも、Galaxy A32 5Gの特徴といえる。
対するOPPOのOPPO A54 5Gは、プロセッサに日本で初となる「Snapdragon 480」を採用。ミドルレンジ向けのプロセッサだが、ディスプレイのリフレッシュレートが90Hzと高かったり、ソフトウェア処理で1億800万画素相当のサイズで撮影できたりと、機能は充実している。ただし、こちらのモデルはおサイフケータイなどの日本仕様には非対応。とにかく安く、5G対応スマートフォンを購入したいユーザー向けの端末といえそうだ。
また、KDDIはiPhone 12シリーズ発売時に導入していた「5Gエクスペリエンス」をAndroidにも拡大する。5Gエクスペリエンスとは、5Gエリアで、かつデータ容量が使い放題の料金プランに加入しているとき、動画やビデオ通話などのコンテンツを自動的に高画質化する仕様のこと。一見すると分かりづらい5Gの価値を、画質という形で見える化する仕組みといえる。KDDIによると、2機種を皮切りに、Android 11に対応した端末が順次、5Gエクスペリエンスに対応していくという。
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