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ライカ愛好者が試す「Leitz Phone 1」 操作性は改善の余地ありだが、スマホにこのカメラは画期的(2/2 ページ)

「ライカQ2」を愛用している筆者が「Leitz Phone 1」を使ってみた。率直に言ってしまうと「スナップメイン。M型ライカのように速写性を重視」といった使い方にはあまり向いていないのではと感じた。一方、「スマホでもじっくりキレイな写真を撮りたい」という人には文句なくオススメできる。

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Leitz Phone 1で幸せになれるのはどんなユーザー?

 写真撮影が好きで、本機の購入を検討している人は多いだろう。率直に言ってしまうと「スナップメイン。M型ライカのように速写性を重視」といった使い方にはあまり向いていないのではと感じた。

 タッチでフォーカスポイントを選択する際はダイレクトに変更できず、一度タップしてセンタリングした後、2回目のタップで初めて任意のポイントに変更できる仕様だったり、デフォルトのフレーム表示範囲が1.0×固定だったり、とにかく「撮るぞ」となるまで複数のステップを踏む必要があるのが、筆者がそう感じた理由だ。

 またシャッタースピードや仕上がりを調整しつつ撮影できる「マニュアル写真モード」の設定項目を表示した状態だと、倍率ボタンは表示されるのになぜかデジタルブライトフレームが表示されない。そして、その設定項目に「絞り」がないことには驚いた。技術的な事情もあるのだろうが、せっかくのF1.9レンズを搭載したカメラとして考えた場合、理解し難い点である。付け加えるならば「マニュアル写真モード」にするとピーキングも表示されない。

Leitz Phone 1
設定を追い込みながら撮影しようとするとブライトフレームが消えてしまい(画像では倍率が1.0×になっているのにフレーム非表示になっている)撮影範囲が分からない。さらにマニュアル撮影項目に「絞り」が存在せず「絞ってパンフォーカスでスナップ」といった使い方は難しかった

 そもそも通常の「写真モード」ではRAW撮影できないので「マニュアル写真モード」を常用するユーザーは多いと思われるが、それだとブライトフレームが表示されず、ピーキングできず、絞りも変更できないという仕様だ。操作性についてはややちぐはぐな印象を受けてしまった。

 最後に、写真機のファインダーとして見た場合、本機のような「ラウンドエッジディスプレイ」を好む人はいないのでは? と感じる。意図せずエッジ部を触っただけでタッチ操作として認識されてしまうし、構図を決める際には周辺部の視認が難しい。本機には品質のいい専用ケースが付属しており、装着するとエッジ部のタッチ問題は軽減するが、視認性はさらに低くなる。筆者は「日常をスマホよりもキレイな画質で写真に残す」目的でカバンにはリコーのGRIIIを忍ばせており、その代替になり得るかという期待を本機に持っていたが、GRIIIの存在意義はまだ失われないなと感じた次第である。

 では、どういうユーザーにLeitz Phone 1をオススメできるのかという点を考えてみたい。

 まず「スマホでもじっくりキレイな写真を撮りたい」という人には文句なくオススメできる。速写性が極めて高い機材ではなくとも、日常必ず持ち歩くスマートフォンにこの画質、この写真が撮れるカメラが収められているということ自体が画期的である。似たコンセプトとしては過去にパナソニックのLUMIX CMシリーズがあったが、あちらはあくまでもデジタルカメラとしての流通であったのに対し、Leitz Phone 1はまごうことなきスマートフォンとして利用できる。この差は大きい。

 本体そのものやキャップ、ケースの高い質感もあり、総じて「カメラを持ってこなかったので仕方なくスマホで撮っている」感が薄い。撮影を目的としない外出においては荷物を大きく減らせる。広角好きの方ならLeitz Phone 1だけを片手に旅行するのも悪くない。何なら標準から望遠はカメラを使い、広角での撮影はLeitz Phone 1に任せるという選択肢も出てくるだろう。

 「撮影写真はクラウドのワークフローに統一したい」という人も本機のよさを感じられそうだ。今どきRAW撮影できるスマートフォンは珍しくないが、小さなセンサーでは現像耐性に限界がある。しかし本機は通信に強いスマートフォンであるだけでなく、1型センサーを搭載した単焦点カメラでもある。それであればRAWで撮って現像しようという気にもなろう。

 例えばAdobe Lightroomなどのユーザーであれば、クラウド同期することで手持ちのカメラ機材による写真管理のワークフローに統一できる。そのシームレスな運用にはメリットを感じられるはずだ。

Leitz Phone 1
背景の曇り空に露出が引っ張られ、カメラ内jpegではゴジラが黒つぶれしてしまった
Leitz Phone 1
現像でシャドーを持ち上げ、カラーノイズを低減している。1型センサーだけあってディテールがしっかり残っている

 ここまでいくつか気になった点も挙げてきたが、その多くがソフトウェアの作り込みに起因するものであり、今後のバージョンアップによって大きく改善する可能性がある。筆者個人としてはLeitz Looks(モノクロ)を含むブラケット撮影ができるといいなと感じた。

 過去にもライカ銘のレンズを搭載したスマートフォンは存在したが、Leitz Phone 1はライカブランドとしてリリースされたものとしては初号機であり、デジタルブライトフレームのギミックや撮影できる写真の画質という点で、十分に存在感や雰囲気を感じられる仕上がりとなっている。

 その意味ではまさにオンリーワン。写真撮影を楽しむユーザーの多くがカメラではなくスマートフォンを使っているこの時代、写真機に対するライカのコンテンポラリーなアプローチを体感したいという方は、ぜひ手にしてほしいアイテムである。

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