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大幅リニューアルした「povo2.0」のインパクト 楽天モバイルにも影響あり?石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)

auのオンライン専用ブランド「povo」が、その内容を大幅に変え、「povo2.0」に生まれ変わる。使いたいときだけ必要なデータ容量をトッピングする仕組みは定着するのか。povo2.0の料金の仕組みを解説しながら、KDDIの狙いや業界に与えたインパクトを読み解いていきたい。

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1年たたずに姿を大きく変えつつあるオンライン専用プラン、競争の構図にも変化が

 20GBでの料金値下げを実現するため、スタート時点では横並びになっていた各社のオンライン専用料金プランだが、LINEMOが3GBの「ミニプラン」を新設したり、povoがトッピングを前提にしたpovo2.0に鞍替えしたりすることで、一気にバリエーションが増し、各社の特徴が色濃く出るようになった。1プランでシンプルさを打ち出すドコモのahamoに対し、ソフトバンクのLINEMOは低容量プランを追加してMVNOユーザーを狙うが、povo2.0は料金体系そのものをガラッと変えてしまった。

povo2.0
ソフトバンクも7月にLINEMOにミニプランを導入しており、「オンライン専用プラン=20GB」の図式は崩れ去りつつある

 結果として、オンライン専用料金プランには、各社の置かれた立場が色濃く反映される形になった。ドコモは、Y!mobileやUQ mobileに対抗するブランドがなく、若年層の取りこぼしもあった。シンプルで料金の安いブランドが必要だったというわけだ。逆に、ソフトバンクはもともとY!mobileが好調な一方で、傘下に収めたLINEモバイルからユーザーを巻き取っていきつつ楽天モバイルやMVNOに対抗する必要もあり、3GBのミニプランが不可欠だったといえる。KDDIも低容量から中容量をカバーしたUQ mobileが急速に伸びているため、povoにはデータ容量だけでない差別化が求められていた。

povo2.0
UQ mobileが好調なKDDI。同ブランドは小容量から中容量をカバーしているため、povoにはデータ容量以外の差別化が必要だった

 オンライン専用プランというカテゴリーでは今のところahamoが強く、契約者数も8月6日の決算説明会時点で180万を超えており、povo2.0発表時に約90万のユーザーを獲得しているpovoがこれに続く。ソフトバンクのLINEMOは2社にやや離されているが、前身のMVNOであるLINEモバイルとの合算では100万契約を超えているという。こうした状況の中、povoが料金プランを刷新し、LINEMOがミニプランを加えたことで、契約者数の追い上げが加速するのと同時に、競争の構図が変化しそうだ。2社ともいったんはARPUが下がる恐れは高く、いかにアクティブなユーザーを増やすかが課題になる。

 povo2.0が月額料金を課さない仕組みを採用したことで、新規参入の楽天モバイルに影響を与える可能性も出てきた。楽天モバイルはUN-LIMIT VIで1GB以下なら無料という低料金を打ち出して以降、ユーザー数は堅調に伸びている。povo2.0の場合、0円だと128kbpsでしか通信できない仕組みのため、横並びでは比較できないが、3GBの料金に関しては990円で、1GB超3GB以下が1078円の楽天モバイルより安い。また、povo2.0はトッピングを足すことで中容量や大容量にもしやすくなり、60GBや150GBをまとめ買いすれば、20GBでも楽天モバイルとほぼ同額になる。auのエリアの広さを考慮すれば、金額は非常に魅力的といえる。

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povoやLINEMOの料金にバリエーションができたことで、UN-LIMIT VIの優位性が失われつつある。特に1GB超20GB以下は他社に並ばれてしまった

 楽天モバイルはショップを構えているのが強みだが、もともとがネット企業なだけにオンラインに強く、リアルな店舗はあくまで販売拠点という位置付け。その意味で、直接的に競合するのは大手3キャリアのオンライン専用プランになる。LINEMOがミニプランを投入し、povoが1.0から2.0へとバージョンアップして料金的な優位性が徐々に失われているため、何らかの対抗策を打ち出してくる可能性もありそうだ。

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