ドコモが扱う「TONE for iPhone」の狙い 料金は約50%値下げ、課題はAndroid端末:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
ドコモの「エコノミーMVNO」に、フリービットグループのトーンモバイルが加わる。ドコモ向けの専用プランを用意して、既存の「TONE SIM(for iPhone)」よりも値下げをした。ドコモにとっても、キッズ向けのサービスを拡充できるというメリットがある。
販路、サポート、iPhone――トーンモバイルがエコノミーMVNOで得られるメリット
中期経営計画で他社にサービスを提供していくことを発表していたフリービットだが、「見守り技術をMNOに提供したいという願望もあった」(石田氏)という。ドコモからのエコノミーMVNOへの誘いは、そんな思いを抱いていた同社にとって、千載一遇のチャンスだったといえる。エコノミーMVNOは、ドコモショップでの販売にあたって手数料がかかる。dアカウントやdポイントとのシステム連携も必要になり、コストを最小限に抑えながら運営しているMVNOからは、参画が難しいとの声も聞こえてくる。
一方で、石田氏は「いくつかの条件やレギュレーションはあるが、トーンモバイルはターゲットが絞られていて、そもそもポイント(Tポイント)もお支払いしていた。やっていただける内容に対して金額は合理的だとポジティブに捉えている」と語る。合理的な金額とは、どういうことか。それを1枚のグラフで表したのが、以下の写真だ。トーンモバイルがエコノミーMVNOに参画する狙いも、ここにある。
グラフは、トーンモバイルを取り扱う店舗数を表したもの。同社のサービスは、オンラインに加え、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)傘下のTSUTAYAやカメラのキタムラで販売されていたが、店舗数は発表会が開催された12月15日時点で112カ所。MVNOとしてはリアルな販路が多い方だが、日本全国に2300店舗を構えるドコモショップと比べると、大きく見劣りする。エコノミーMVNOに加わることで、その強力な販路を取り込むことができる。拡大の幅は20倍以上。12月22日を境に、トーンモバイルの販売環境が激変すると言っても過言ではないだろう。
販売だけでなく、サポートの強化も期待できる。特にトーンモバイルの場合、見守りサービスがセットになるため少々セットアップが複雑になる。サービス内容を考えると、ショップでのサポートは不可欠だ。トーンモバイルがMVNOの中では店舗を多く展開していたのもそのためで、ドコモショップで一気に拠点を拡大できるのは大きなメリットになる。ドコモによると、TONEファミリーを店頭で契約した場合、その設定もサポートに含まれるという。
さらに、ドコモショップならiPhoneを直接販売でき、ワンストップでサービスを提供できる。TONE SIM(for iPhone)はSIMカードの単体販売で、端末は別途入手する必要があった。スマートフォンに詳しいユーザーには簡単かもしれないが、端末とSIMカードをそれぞれ用意して、セットアップした上で子どもに渡すのはどうしても煩雑になる。iPhoneは、「いつでもカエドキプログラム」で購入できるため、買い替えのハードルも低くなる。(正規の)iPhoneを扱えない弱点を解消できるのは、エコノミーMVNOに参加するもう1つの動機づけになる。
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