いよいよ競争が本格化 2021年に登場した「5Gホームルーター」を振り返る:5分で知るモバイルデータ通信活用術(3/3 ページ)
2021年は、ワイヤレスホームルーターがとても盛り上がった1年でした。ある意味で「5Gホームルーター元年」となったこの年を改めて振り返っていきましょう。
「SoftBank Air」は契約解除料を撤廃 しかし“強気”な面も
ドコモがhome 5Gの提供を開始してからおよそ半月後、ホームルーターの先駆け的存在であるソフトバンクも対抗策を打ち出しました。9月15日からスタンドアロン構成の5Gネットワークでの通信にも対応する「Air 4G/5G共通プラン」の提供を開始したのです。
新プランでは定期契約が撤廃されています。5G対応の新型ホームルーター「Airターミナル 5」も、36カ月間(3年間)使えば「月月割」によって実質0円となります。この辺は、home 5Gへの対抗策といえるでしょう。
しかし、よくよく見てみると、Airターミナル 5の販売価格(分割払い時は支払総額)は7万1280円と、home 5Gやau/UQのホームルーターと比べると“高価”です。高層建造物の11階以上、あるいは高層建造物の周辺にある場所での利用を希望すると申し込めない(契約を継続できない)ことがあります。月月割が適用される期間内に解約すると、ドコモやau/UQのホームルーターと比べると“損”が大きく出やすいので注意しましょう。
なお、他のサービスにはない特色として、SoftBank Airには無線式の固定電話サービス「おうちのでんわ」とのセット割も用意されています。ソフトバンクの携帯電話を契約していて、おうちのでんわも利用しているという人は、かなりおトクに使えるサービスではあります。
2022年もホームルーターは盛り上がる?
ドコモの参入によって盛り上がりを見せ始めたワイヤレスホームルーターの世界ですが、現時点において楽天モバイルは唯一ホームルーターを投入していません。
筆者は2020年春、引っ越し中に楽天モバイル回線を固定回線代わりに使いましたが、十分に利用できました。自社エリア内で1日10GB以上の通信をすると、日付が変わるまで通信速度が最大3Mbps程度(筆者調べ)になるという制限もありますが、特にau/UQと比べると厳しい制限でもなく「遅くなっても何とか使える」を維持できます。
同社の料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」は、他社のホームルーター向けプランよりも手頃です。自社回線エリア内に住んでいるという前提条件はあるものの、ホームルーターを出せば特に都市部では十分な競争力を持てるはずです。ぜひ、5G対応のホームルーターを発売してほしいと考えています。
2022年春にはソニーワイヤレスコミュニケーションズがローカル5Gを活用した集合住宅向けのインターネット接続サービス「NURO Wireless 5G」の提供を始める予定です。
このサービスは、集合住宅の近くにローカル5G基地局を設置し、個々の部屋までの「ラストワンマイル(引き込み線)」をワイヤレス化するということが特徴です。既存のワイヤレスホームルーターと同様に宅内工事が不要である上に、厳しい通信容量/速度制限も設けられない見込みだといいます。
サービスの特性から、提供可能エリアは北海道、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、愛知県、静岡県、大阪府、兵庫県、奈良県、福岡県の一部と限られますが、エリア内であれば光回線を引っ張ることが困難な集合住宅における“福音”となるでしょう。
筆者としては、2022年もホームルーターが盛り上がるといいなと思っています。
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