電柱に巻ける5G対応のフィルムアンテナ DNPが開発、2023年度に量産化
大日本印刷(DNP)は、5GのSub-6帯域に対応し、直径15cmの細い円柱などに巻き付けることが可能なフィルム型アンテナを開発した。直径15cmの細い円柱にも巻き付けられる可撓性(かとうせい:しなやかにたわむ機能)を持たせた。電子線(EB:Electron Beam)を照射してフィルムにコーティングした機能性樹脂等を硬化させるDNP独自のEBコーティング技術を活用した。
大日本印刷(DNP)は、5GのSub-6帯域に対応し、直径15cmの細い円柱などに巻き付けることが可能なフィルム型アンテナを開発した。
5GのSub-6帯域(3.7GHz帯と4.5GHz帯)の電波は、通信可能な距離が短く、エリアをカバーするための基地局とアンテナを多数設置しなければならない。そのため、電柱や街灯、そして建物の内部、外壁などにも違和感なく設置できるアンテナの需要が高まるとDNPは説明する。しかし、従来のアンテナは円柱物に巻き付けることが困難である他、景観と調和しないデザインであることなどの課題があったという。
その課題を解決すべく開発したのがフィルム型アンテナだ。
直径15cmの細い円柱にも巻き付けられる可撓性(かとうせい:しなやかにたわむ機能)を持たせた他、電子線(EB:Electron Beam)を照射してフィルムにコーティングした機能性樹脂等を硬化させるDNP独自のEBコーティング技術を活用することで、耐候性を高めつつも木目調などの意匠性を付与でき、景観を損なうことなく屋内外に設置できるという。
2022年3月には、オプテージとOPTAGE 5G LABのローカル5G設備で共同実証実験を行い、意匠付きフィルム型アンテナのSub-6帯域での通信に成功したことも明らかにしている。
今後の展開についてDNPは、2023年度の量産化に向けて、各種通信関連会社と共同で機能検証を進め、2025年に売上10億円を目指すとしている。
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