盛り上げ役がちょっと違う? 熱気が戻った2022年の「スマホ春商戦」:元ベテラン店員が教える「そこんとこ」(2/2 ページ)
「春商戦」と呼ばれる1〜5月(特に3月と4月)は、携帯電話の契約や端末販売が一番多くなる時期……ですが、ここ2年は新型コロナウイルス感染症の影響でそうでもありませんでした。今年(2022年)は賑わいをある程度取り戻したものの、ちょっと今までとは様子が異なるようです。携帯電話ショップのスタッフから話を聞いてみましょう。
いつもの「学割」が表に出ない春商戦 影響は?
端末の値引きもあって盛り上がりをある程度取り戻した春商戦ですが、今までの盛り上げ役の1つであったはずの「学割」が目立たなくなったという変化も見逃せない所です。というのも、2021年の夏ぐらいから、「15歳以下」「22歳以下」「30歳以下」といったように、若年層を属性ではなく年齢で区切る割引施策が充実したので、以前のように学生に特化した割引(販売)施策を取らなくなったことが背景にあります。
ドコモ、au(KDDIと沖縄セルラー電話)、ソフトバンクでは、学割の代わりに「30歳以下」を対象とする割引施策を導入しています。その上で、主に「15歳以下」を対象とする追加施策を用意することで「学割」相当としています(画像はauの「au応援割 U30」)
実は、このことが販売現場では“意外と”影響を及ぼしているようです。
今シーズンは、TVCMとかでも“ハッキリと”学割だというアピールする感じではないですよね。今の30歳以下の割引なんかも、15歳以下だと追加で割引などの特典もあるんですが、あまり強くアピールしていないように思います。
そのせいかもしれませんが、例年と比べると学割(若年層の割引)を目当てにした来客は少ない印象があります。
お客さまから「今年は学割ないんですか?」という問い合わせを受けることはたまにありますね。
今の年齢を区切る割引施策は、春商戦に限らず行われるので、お子さま連れや若いお客さまの集客には強力なツールです。その点では助かっているのですが、この時期に限っていえば「学割やってます!」的なプロモーションにした方が良かったのではないかと思わなくもありません。
期間を区切る学割としなかったことで、特に30歳以下の集客には一定の効果があるようです。一方で、それゆえに「学割」をきっかけにした来店や集客にはつながりづらくなったという現実が見えてきます。
もっとも、学割であることはアピールしていないものの、15歳以下や22歳以下を対象とする学割“相当”の追加特典はあります。過去の学割の記憶もあり「この時期だから学割はあるだろう」「さすがに学生ならおトクだろう」と、一種の“勘”に基づいてやってくる家族連れはいるようです。
久しぶりに盛り上がっている春商戦だが……
複数店舗のスタッフに春商戦の状況について聞いてきたが、直近2年と比べると忙しくなっているそうです。そういう意味では「春商戦らしい」状況なのですが、その原動力は先述のように端末の特価販売です。
春商戦が盛り上がる理由は、進級、進学や就職といったライフステージの変化に伴い、携帯電話を新たに契約したり買い換えたりする人が増えるからです。ただ、小学生でもスマホを持つことは珍しくない今のご時世を考えると、春にこだわってキャンペーンを行う必要もないことも事実ではあります。キャリアが若年層向けキャンペーンを事実上通年化したのは、そのような事実を踏まえた動きなのだと思います。
長く続くコロナ禍の中、店頭へ出向けず「オンラインショップ」で新規契約や機種変更をしたり、店頭で契約や購入手続きに対応しない手頃な「オンライン専用プラン(ブランド)」に移行したりと、店頭に出向かずとも簡単に携帯電話を買えて、料金も抑えられるということに気が付いた人も多くいるでしょう。そうなると、店舗に出向かなくなる人はジワジワ増えてくるでしょう。
今後、店頭“ならでは”のメリットを打ち出せない限り、以前のような春商戦の盛り上がりは期待できません。「春になったら安い」だけではない、新しい“切り口”で商戦期を作る取り組みが求められるのではないでしょうか。
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