4万円台「OPPO Reno7 A」の“3年使える”は本当か 実用視点で検証した結果(3/3 ページ)
6月発売の5Gスマートフォン「OPPO Reno 7 A」。“スペックに現れない部分”にこだわりのあるミッドレンジモデルの実力を検証する。
防水・おサイフ対応、“必要十分”なスペック
OPPO Reno 7 Aのスペックは「必要十分」の一言で表せる。割り切る部分は割り切って、製造コストとのバランスを取っている印象だ。
一方、日本特有のニーズにもきっちり対応しているのはReno7 Aの強みといえる。防水・防塵(じん)は、IPX8/IP6X相当。おサイフケータイも搭載する。バッテリー容量は4500mAhと大きめで、18Wの急速充電をサポートする。
“割り切り”は主にプロセッサ、ディスプレイ、カメラなどに見られる。まず、プロセッサはミドルレンジのSnapdragon 695 5Gを搭載する。先代のReno5 Aが搭載するSnapdragon 765Gと比較すると、型番のグレードは1つ下だが、実際のパフォーマンスは、Snapdragon 695がやや上回る。
ベンチマークアプリの「GeekBentch 5」で計測してみたところ、シングルコア性能が685、マルチコア性能が1942というスコアとなった。これは「Galaxy S9」など、4年前のフラグシップモデルが搭載するSnapdragon 845をやや上回る結果だ。また、2021年6月掲載の記事で紹介している、Reno5 AのGeekBentch 5のスコア(マルチコア)は1710で、Reno7 Aが上回っていることが分かる。
メモリ(RAM)は6GBと、2022年発売のミッドレンジとしては多めの設定。ストレージの一部をキャッシュとして使用する「仮想メモリ」機能を備えている。内蔵ストレージは128GBで、最大1TBのmicroSDをサポートする。
Wi-Fiは、Wi-Fi 5(802.11ac)までの対応となっており、最近規格のWi-Fi 6には非対応。5Gは各キャリアのSub-6周波数帯をサポートするが、NTTドコモのBand n79には非対応となっている。モバイル通信ではデュアルSIMをサポートしており、nanoSIM×2(microSDと排他)または、nanoSIM+eSIMの組み合わせで、2回線同時待ち受けが可能だ。
“3年使える”かは人によるが、ポテンシャルはある
さて、OPPOはReno7 Aに「ときめき、長持ち。」というキャッチフレーズを付けている。その根拠の1つが、独自の「システム劣化防止機能」だ。スマホの利用で蓄積するキャッシュなどをクリーニングすることで、「36カ月の利用後もシステム劣化を5%以内に抑えられる」としている。
このシステム劣化機能の有効性は、OPPOの研究室内での試験データに基づいており、短期間の試用でその検証を裏付けるのは難しい。ただし、時間をかけて充電することでバッテリー劣化を抑える機能や、仮想メモリ機能など、長期間使うほど効果を発揮する機能は確かに搭載されている。
一方、OSバージョンアップについては、不透明な部分もある。オウガ・ジャパンの担当社は製品発表時のインタビューにて、「1回のOSバージョンアップを準備しているが、2回目以降は調整中」と明らかにしている。発売当初のOSはAndroid 11ベースのため、2回目のOSバージョンアップが提供されたとしても、2022年リリース予定のAndroid 13をベースとしたものになるだろう。
3回目以降のアップデートが提供されないならば、3年後には2世代前のOSを搭載するスマートフォンとなる可能性もある。もっとも、OPPOがOSバージョンアップを確約できないのは致し方ない事情もある。Android OSが何世代サポートできるかは、チップセットメーカー(このモデルではQualcomm)と、Android OSを提供するGoogleの方針によって左右される。また、Android 13の次世代のOSは、現時点では姿も形もないため、そもそも対応できるかを保証することも難しいだろう。
ユーザー目線から「3年使えるか」を評価するとしたら、筆者は「使える人もいるだろう」と考える。Reno7が向かない人は明確だ。例えば、アクションゲームなど、性能が求められるゲームを多くプレイする人や、何度も充電するほど使いこむような人には、このスマホは適さないだろう。
生活の中でスマホを使う頻度がそれほど多くない人ほど“ハマる”スマホかもしれない。例えばLINEや電話、スケジュール確認が主な用途で、たまに動画を1〜2時間見るという程度の使い方なら、バッテリーの劣化を抑えて、長く使い続けられるだろう。
ヘビーユーザーには物足りなさを感じる部分もあるが、(少なくとも発売時点では)ほとんどの用途をこなせるスペックを備えている。価格も比較的手ごろなため、ヘビーユーザーにとってはサブ端末として活用する余地がありそうだ。
一方で、Reno7 Aには軽量さや手触りの良さ、ほどよく大きい画面など、手に持ってみて初めて良さを感じる部分もある。人によっては「価格の手ごろさから手に取って、気づいたら長く使っていた」という“スルメ”のような存在となりうる1台だ。
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